蛍光灯
蛍光灯の高音質のざわつく音がやけに気になるが、誰もがそんなことは気にも止めない。こんなに晴れた良い天気の春は、外の空気を吸い込み公園でボールを蹴るのが楽しいだろう。
あいつらはおそらくそんなことをしながら、まだ始まらない入学式の前の希望に高鳴る気持ちを紛らわしているに違いない。
それなのに僕は、囚人のような体に馴染まない上下のスーツを無理やり身に纏いながら、暗い窓のない殺伐とした雰囲気の職場に佇まされながら、好奇の目にさらされている。余裕のあるように微かな笑みを浮かべてみても、好感度が上がるための点数稼ぎにもならないほどの冷たい白けた視線の嵐が注ぎ込まれている。
そこには、不本意ながらも嫌々受けた面接官であった小柄な男の姿もあった。貧相な体と猜疑心の塊のようなその男は、僕の上司となるようだ。
およそ人としての寛容とか徳とかとは縁遠いながらも、餌にありつけるためには何でもするような、狡猾に生きてきた野良猫の姿を思わせる、知性の欠片もないないその男の指示に従うこととなるとは、早々に見切りをつけなければならないと覚悟した。
質素なコンクリートの床は、タバコの吸い殻をそのまま捨てて、足裏でもみ消した後が、至るところにあった。オフィスとは思えない、工場の現場のようなところだ。