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過去への回帰
あれから一体どのくらいの歳月が過ぎ去っていったのだろう。昨日のことは遥か昔の出来事のように思え、昨日のことのように思い出す楽しいことや殴り倒したい感情を無理やり押さえつけるために全身の震えを我慢する出来事は、遥か昔の出来事となってしまった。
あの頃、目の前で罵倒することも、伝言板に書き残すことも出来なかった、ひたすら前を、ひたすら下を向いて耐えてきた、時の流れをもう一度つむぎ直して見ることは可能であろうか。そして、その事により、僕の心に何か新たな視野の広がりか、新たな声が聞こえるかもしれない、そんな微かな心のうずき感じながら、僕は心のひだひだを、もう一度トレースしてみようと思う。可笑しいかな、いや、そんなことはないさ、何故なら、過去のことは、きっと誰もがそう思っているに違いないから。