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ヒロインだけど敵が好き♪  作者: きゃる
第一章 推しがクラスにやってきた
2/15

青天のへきれきっ

よろしくお願いいたします(*^O^*)。

 

 ――――ぴしゃんっ。




 確かに今、そんな音が聞こえた。

 教室の扉がしまる音? 

 いえいえ、そんな生易しいもんじゃない。

 平手打ち? 

 そっちの方が近いかも。


「今のって何? 転入生を見た瞬間、脳内に直接響いたような……」

 

 私は教壇の脇に立つ二人の男性を凝視する。

 両者とも、とんでもなくイケメンだ。


「嘘! まさか、そんな……」


 思わず絶句。

 その拍子に私――アリアの柔らかな桃色の髪が揺れる。

 私は隣国から来た転入生をよく見ようと、再び紫色の瞳を()らした。


 背が高く、長い金髪を一つにまとめた色香漂う青年は、金の装飾がついた緑色の上着に茶色いトラウザーズを身につけている。その瞳は、綺麗な緑色。


 青年の斜め後ろに控える銀髪の男性は、濃い青のトラウザーズとジレ(ベスト)にシンプルな白いシャツ姿。彼は金髪の青年の従者で、珍しい紫と青のオッドアイだ。


「初めまして。ベルウィード国から来た公爵家のディオニス・ヴァランだ。後ろにいるのは僕の従者のレヴィー。よろしくね」

「よろしく……願います」


 一瞬の静寂(せいじゃく)

 そして――


 「「キャーッ」」

「「素敵~~!」」


 女生徒が、先を争い絶叫する。

 留学生は二人ともすこぶるイケメンで、品もスタイルも良い。

 おかげでクラスの男子生徒が、たちまち(かす)む。

 その男子、あちらこちらで舌打ちしている。


「チッ、女子め。ちょっとくらい顔がいいからって騒ぎすぎだろ」

「公爵家だから、爵位もいいぞ」

「イケメン(ほろ)べ」


 一方私は、顔から血の気が引いていく。


 間違いない。彼らは――――


 ああ、なんてこと!

 私は全てを思い出し、歓喜に震えた。



 *****



 私の名前は、アリア・ファブリエ。

 侯爵家の令嬢で、ここ、グランローザ王立学園高等部二年生。


 この学園の入学資格は、十二才~十八才の魔法を使える者。

 貴重な魔力を受け継ごうと保護したためか、ごく一部を除き、ほとんどが貴族の子女だ。


「授業もマナーやダンス、乗馬や領地経営など貴族の教育に(かたよ)っているのよね。学ぶ魔法は自然系。それもこれも、我がグランローザが農業王国だからなんだけど」


 農業に自然は必須。

 そのため魔法は、火・水・風・土に光を加えた五種類が発展した。

 私が得意なのは、風魔法。


「花びらを(うず)状に飛ばす技術なら、誰にも負けないわ」


 ちなみに留学生達は、自然系の魔法が扱えない。

 それなのに『魔法を学ぶ』という名目で、グランローザ王立学園に転入してきたのだ。それにはちゃ~んとわけがある。


 ――出会ったばかりで詳しく紹介されてもいないのに、なぜ知っているかって?


 それは私に、前世の記憶があるから。

 正確に言えば、たった今思い出した。

 感動のあまり叫び出さなかった自分を()めてあげたい。


 ――あら? もしかして今、銀髪の彼と目が合った?


「尊いわ。尊すぎて倒れそう」


 興奮して鼻血が出ないよう、さりげなく鼻を押さえる。


 だって彼らは、私が前世でハマっていたテレビアニメの登場人物そっくりだ……というより、まさかのご本人様。繰り返し再生し、グッズに給料つぎ込んだ私が、見間違えるはずがない!


 残念なことに、留学生はみんな敵。

 この学園の生徒達を意のままに操り、人質にして我が国を乗っ取ろうと企んでいるのだ。もちろん彼らにも、彼らなりの言い分や信念がある。


 私はううーんと、頭を(ひね)った。


 ――何をすればいいかしら? どうすれば私は、敵の仲間になれるの?

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