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腹も減らない。
かつては戦国大名として、天下を目指した。
しかし、その夢は半ばで残酷な幕を下ろした。
全てが終わり、義盛の魂は黄泉の国へと旅立ったはずだった。
突然、義盛は目覚めた。
焼け落ちた暁城の廃墟で突如、覚醒したのだ。
天より飛来せし、緑の石が自らの骸に入り込んだことなど知るよしもない。
「これでまた、天下を目指せる」
そう考えた義盛の身体が緑色の光を放つと、城の周りに散らばった家来たちの骨も、主人と同じように生き返り始めた。
死人は義盛の思い通りに動かせた。
義盛は城の修復に取りかかった。
天下獲りの第一歩である。
仇敵の豪里清秀が現れ、思っていたより早く復讐も果たせた。
今や、憎き清秀も義盛の思うままに操れる傀儡の一人にすぎない。
新しい城が完成すれば、その後は辺りの村を襲い、軍勢を増やす。
そして次は清秀の城を陥落させ、さらに兵を増強する。
その次は他国へと攻め込み、戦力を補充。




