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虹丸  作者: もんじろう
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8

 虹丸の首筋から液体が吹き出した。


 すれ違う際に時雨の小刀に斬られたのだ。


「う…」


 虹丸の口から低い声が洩れ、その場に倒れた。


 動かなくなる。


「うふふ」


 時雨が虹丸に近寄った。


「弱すぎる。まったく、だらしないね」


 虹丸を蹴った。


「おや?」


 時雨の表情が(こわ)ばる。


 虹丸の死体に異常を認めた。


 首筋を切断した傷から流れ出る液体。


 もちろん、血だと思っていたのだが、月明かりの下に浮かびあがった、その色は。


 緑色だった。


 弱々しい光を放っている。


「これは?」


 時雨は動揺した。


 理由が分からない。


 頭の中が真っ白になった、その刹那。


「!!」


 複数の殺気が時雨に襲いかかった。


 五人。


 いつの間に近づいたのか?


 虹丸を簡単に殺した後、時雨に油断があった。


 それゆえに、これほどの接近を許してしまったのだ。


 自分を中心に、別々の方向から襲いかかった者たちを時雨は瞬時に見極めた。


 全員、小柄だ。


 ぼろ布を(まと)い、顔を隠している。




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