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虹丸  作者: もんじろう
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 十蔵は村の入口へと立った。


 村人たちは夜も更けているので、家の中に居るようだ。


 静まりかえっている。


「虹丸、大声を上げて奴らを逃がそうとしても無駄だぞ」


 虹丸の考えを先読みした十蔵が言った。


「素人を俺が逃がすと思うか? もし、お前が叫んだら、そこから始める」


「………」


「まあ、遅かれ早かれ始まるがな」


 十蔵が懐から小刀を取り出した。


「そこで見ていろ」


 十蔵が村へと一歩、踏みだした。


 四肢が動かない虹丸は何も出来ず、その背中を見ているしかない。


 十蔵が二歩目を踏みだしたとき。


 十蔵と虹丸とは別の第三の気配が現れた。


 二人の背後から近づいてくる。


 否。


 一人ではない。


 二人、三人、五人、十人。


 大勢の気配がする。


 十蔵が振り返った。


 月明かりと村の家々から洩れる明かりに、現れた大勢の姿が浮かび上がる。


 衣服はばらばらだが、顔は皆、同じだった。


 虹丸である。


「やはり」


 十蔵が言った。

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