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虹丸  作者: もんじろう
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 巨体が線にそって、ずれ落ちる。


 真っ二つになった男は砂ぼこりをあげて倒れた。


 そして。


 男の死体が優しい緑色の光を発し始めた。


 光は空中へと浮き上がり、死骸を離れた。


 静香へと漂ってくる。


「?」


 光が静香の身体に触れた。


 肌にまとわりつき、体内へと浸透してきた。


 静香は自らの身体が活力で満たされていくのを感じた。


 今まで味わったことの無い感覚だ。


 (これが十蔵の言っていた…力を奪うということか)


 静香は興奮を隠せなかった。


(これを繰り返せば日本を斬れる)


 そう考えると自然と笑みがこぼれた。


「あは」


 静香が笑った。


「あははは」


 次第に笑い声は大きくなり、ついに大声となった。


「あはははははっ!!」


 十何年ぶりかの笑いを静香は身体を反り返らせ、堪能した。


「あはははははっ!!」




「久しぶりだな」


 川辺の大きな石に片膝立てて座り、十蔵が言った。


 十蔵は川の方を向いている。


 夕暮れどきだ。


 十蔵の背後の林から、ゆらりと人影がひとつ現れた。


 小柄な男だ。


 十蔵は背後のその男に声をかけたのだった。


 小柄な男が進み出て、近づいてきても十蔵は振り返らなかった。


 そのままで会話を続けた。


「虹丸」


「十蔵さん」と小柄な男、すなわち虹丸が言った。


「お前が里を抜けたのは意外だった」


 十蔵が言った。

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