表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹丸  作者: もんじろう
55/105

55

 抜け忍になることを可能にしたのは他ならない石の力だったが、半年の間に虹丸の考えは変わっていった。


 やはり、この異常な状態を元に戻したかった。


 毎夜、夢の中に現れる緑色に輝く石も虹丸を悩ませた。


 気味が悪かった。


 まるで石が心を持ち、虹丸を呼んでいるように感じたのだ。


 虹丸は何故かそちらへ行きたくなる方角をあえて避けた。


 その先に、あの石があるような気がする。


 それこそが石の狙いなのではないかと思った。


 虹丸は元に戻る方法を探した。


 そして、猟師の新吉にたどり着いたのだ。


「結局」


 虹丸が言った。


「遠回りしていたのか」


「そういうことだな」


 別の虹丸が答える。


「夢で見る石が呼んでいる方へ行けば、もう治っていたかもしれない」


「皮肉だな」


 違う虹丸が苦笑いした。


「さっきの法師みたいな奴が現れるかも…」


「石を持っている奴は相手にしても意味が無い。出来れば避けたい」


「ああ」


 虹丸たちが頷く。


「石の力が無くなったら…」


「………」


「抜け忍狩りにあっさり殺されるかも…」


「それは何とも言えない」


「全力で逃げるだけだ。今のままで居たいのか?」


「そうだな…」


「石を見つけよう」


 それきり、虹丸たちは押し黙った。


 洞窟の外では朝日が昇り始めていた。




 宿場で一泊した静香は、翌朝早く出発した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ