51/105
51
仲間を殺さねば、待っているのは十蔵による確実な死だ。
五人は理解した。
闇の中、五人は戦い始めた。
昨日まではお互い笑い合っていた相手の息の根を止めようと、刃を振るった。
虹丸も必死だった。
気がつけば、虹丸の目前には一人しか居なくなっていた。
六人の中でも、虹丸と一番仲が良く気の合った六郎だった。
虹丸は吐き気を覚えた。
何故、六郎を殺さねばならないのか?
出来るものなら、六郎のために自分が死んでやりたかった。
だが、死は恐ろしい。
(俺が何人も居れば六郎を助けてやれるのに…)
ふと、そう思った。
それなら一人くらい、六郎のために犠牲になるだろう。
余計なことを考えていても、虹丸の身体は長年の修練のせいで無意識のうちに動いていた。
「よくやった」
十蔵の声がした。
その声にはっと我に返ると、虹丸の足元には首を斬られた六郎の死体が転がっていた。
虹丸は生き残った。
それから、虹丸の下忍としての生活が始まった。