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「あんた、変わってるね」
女が言った。
「うん?」
男が首を傾げる。
「おらとするなんて変わってる」
「?」
「自分で言うのも何だけど…おら、綺麗でもないし、その…」
「………」
「大きくて男みたいだろ?」
「………」
「前に、ここに乱暴な男たちが押し入ってきた。でもおらを見て、何もせずに帰っていったよ」
そう言って女は笑った。
男は真剣な顔で黙っていた。
右手を伸ばし、女の顔を撫でる。
女ははにかみ、顔を赤くした。
女が男に身体を寄せ、肌を密着させる。
「あんた、明日出ていくの?」
女が訊いた。
寂しげな表情。
「いや」
男は首を横に振った。
「ゆっくりするつもりだ」
男の言葉に女は満面の笑みとなった。