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そのまま、凄まじい怪力で虹丸たちをひねり殺した。
が。
次の虹丸の刃が、とうとう虎然の腹に突き刺さった。
その後は、一人、二人、次々と虹丸たちが突きかかり、虎然の巨体は虹丸たちの身体で覆われ、外から確認できなくなった。
虎然の身体から流れ出す血液によって、虹丸たちの身体は真っ赤に染まった。
虎然の血は虹丸のものとは違い、普通の血だった。
「虹丸…」
塊になった虹丸たちの下から、虎然の苦しそうな声が響いた。
まだ生きているのだ。
「これが、お前の石の力か?どうりで死んだはずのお前から、石の力が吸えぬのか」
「………」
虹丸たちは答えない。
「わ…わしの供養を頼む…」
虎然の声が途切れた。
虹丸たちの全身が優しい緑色の光を発し始めた。
虎然に取りついている虹丸たちだけでなく、辺りを取り囲んだ無数の虹丸たちも発光している。
しばらくの後、緑色の輝きは収まった。
虎然の身体から、虹丸たちが離れた。
虎然は立ったまま死んでいた。
「おい」
虹丸の一人が言った。
「元に戻らないぞ」
声が微かに震えている。
顔には絶望の表情が浮かだ。
「法師の石の力が流れ込んでくるのは感じた」
違う虹丸が言った。
他の全員が頷く。
「元に戻れと念じたのに…」
「………」