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大きな顔が青くなり、息が乱れる。
「?」
ここに至って、虎然は気づいた。
未だ衰えない攻撃を加えてくる襲撃者たちが、全て同じ体格であるということに。
打ち殺した敵からは血ではなく、虹丸の死体より滴っていた緑色の液体が流れ出している。
(まさか?)
虎然の頭にあり得ない考えが浮かんだ。
虎然は眼前に居る敵の一人を刀で突き殺した。
他の腕でその他の襲撃者に対応しながら、死体を揺すり、被っているぼろ布をめくり上げた。
敵の顔は。
虹丸だった。
「馬鹿なっ!?」
虎然の刀が敵のぼろ布を次々と剥いでいく。
全員が虹丸だった。
「おおっ!?」
あまりの驚きに虎然の顔が歪んだ。
まるで死人の顔だ。
虹丸たちは無言で攻撃を継続する。
ついに。
籠に突っ込んだ虎然の手が空を掻いた。
なまくら刀が底をついたのだ。
「ぐ………」
虎然の大きな手が直に虹丸の頭を掴んだ。
籠を捨て、六本の腕で六人の虹丸を捕らえた。