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光は、どんどん忍びの身体を侵食していった。
突然、意識が失われた。
川が流れている。
川沿いに粗末な小屋が建っていた。
すっかり陽の落ちた夜の闇の中、満月の光だけが小屋を照らしている。
小屋の窓から差し込んだ月明かりが二人の人物を浮かび上がらせた。
川のせせらぎも二人には聴こえない。
小屋の中に居るのは一組の男女だった。
二人は裸で抱き合っていた。
月の光が二人の裸身を照らす。
男は若かった。
二十歳前後というところか。
小柄だ。
短髪で丸顔。
両眼は大きく、愛嬌がある。
だんご鼻で唇は厚い。
身体は、なかなかに筋肉質で鍛えられたものだった。
女は男より年上で大柄だ。