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「どちらにするかのう?」
思案した。
しばらく後。
「よし、決めた!」
六本の手を打った。
「ここで待って、後ろから来る奴を食らうとするか」
巨体を揺らして大笑いした。
静香は街道を通り、宿場へとたどり着いた。
十四歳で母の元を飛び出してからの四年間、特に行く宛もなく剣の修行のみを続けた流浪の旅だった。
家を出るきっかけとなった、あのときの怒りは今も静香の身体を内側から焦がしている。
母と五平が折り重なっている悪夢で目覚める日もあった。
ただ二十日ほど前に不思議な石を拾ってからは緑色の柔らかい光を放つ、その石の夢を見るようになったが。
石は今は無かった。
静香の腕が緑色の光に侵食されるところで気を失ったのだが、あの出来事自体が夢だったのかもしれない。
何にせよ、母の悪夢は見なくなったものの、常に静香を捕らえ続ける悶々とした気持ちは変わらない。
十四歳の女子の旅は決して楽なものではなかった。
静香が女と分かれば襲いかかってくる男は幾人となく居た。
その度に静香は相手を斬ってきた。
一時は斬って、斬って、斬りまくることで胸の苦しさが晴れるのではと考えもした。
しかし、何人斬っても無駄だった。
母の顔を思い出すだけで、あの夜と寸分変わらない怒りが込み上げてくる。




