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虹丸  作者: もんじろう
30/105

30

 籠を投げた当人は、刀の雨を一本も浴びなかったらしい。


 いつの間にか上着をはだけ、上半身を露にしている。


 まるで岩のような筋肉だ。


「供養、供養」


 虎然が言った。


 その大きな両眼から緑色の光が溢れ出した。


 我郎を筆頭に生き残った野盗たちは、あり得ざる光景を見た。


 虎然の分厚い背中が、さらに膨らみ始めたのだ。


 もこもこと筋肉がせり出すと、四つの大きなこぶが出現した。


 次にこぶが伸び始め…。


 否、こぶではない。


 虎然の背後に位置する野盗たちは気づいた。


 虎然の背中からせり出したのは、人間の拳だということに。


 拳に続いて太い腕が現れる。


 虎然は六本腕になった。


 新しく生えた腕の拳が指を開いては握り、開いては握りを繰り返す。


 感触を確かめているようだ。


「かかかかっ!!」


 虎然が妙な笑い声をあげた。


 満面の笑みである。


 虎然の六本の腕が自らのそばに落ちている刀を拾った。


 よくよく見れば虎然のばら蒔いた刀は、どれも屑のような代物だった。


 錆びたり刃こぼれしていたり、まともな物はひとつとして無かった。


 腕一本に、ひと振りの刀。


 六本の刀を持つと虎然は動いた。


 未だに茫然となっている野盗たちに、六本の刀を振り下ろしたのだ。


 なまくら刀は斬れはしない。


 しかし、虎然の異常な怪力のなせる技か、どの刀も折れ飛びながらも野盗たちの頭骨をひしゃげさせ、破壊した。


 再び、野盗らの阿鼻叫喚が始まった。


 虎然は折れた刀を投げ捨てると次の刀を拾いあげた。


 拾っては野盗に斬りつけ、刀を折り殺害する。


 これを恐ろしい速さで繰り返し始めた。


「かかかかっ!!」


 虎然が笑う。

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