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まるで小動物を手に乗せているような感触。
忍びは顔の前に石を持って、その緑色の光に見入った。
その瞬間、突風が吹いた。
炎がうねり、忍びの這いつくばる穴へと注ぎ込まれた。
炎は忍びの身体に燃え移った。
生きながら全身を焼かれる激痛に七転八倒した。
自らの絶叫が、何故か遠くから聞こえる他人の声のように思えた。
肉体が破壊されていく中で、不思議と意識は冷静さを取り戻していった。
(もう死ぬのだな…)
そう思った。
ふと、昔を思い出す。
それも束の間。
猛烈な生への執着が頭をもたげ、膨らみ、爆発した。
(死にたくない!!)
髪は燃え、肌は溶けていたが、両眼はまだ開いていた。
柔らかい緑色の光が、またしても視界に飛び込んでくる。
(!?)
死の痛みにのたうち回りながらも、依然として光る石を握り続けていたのか?
忍びは自らの両手を見た。
石は消えていた。
忍びの両腕が、肘の辺りまで緑色の光を発し輝いている。