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虹丸  作者: もんじろう
28/105

28

 我郎は反対する者たちを一喝し、山道を堂々と進んでくる法師を取り囲んだ。


「?」


 我郎は驚いた。


 法師の姿が、あまりにも奇異だったからだ。


 まず、大男であった。


 牙次も大男だったが、この法師はそれよりもまだ一回り大きい。


 筋骨隆々である。


 きれいに剃りあげられた、いやに平たい頭の下に大きな両眼と大きな鼻、大きな唇を付けた、これまた大きな顔が鎮座していた。


 年齢は分かりにくいが、三十から四十の間といったところか。


 格好は僧というよりも僧兵のようだ。


 背中に大きな籠を背負って、その中には。


 大量の刀が入っていた。


 籠が大きいため、刀たちは柄の部分しか見えていない。


 法師は大勢の野盗に囲まれても平然としていた。


「おお? 何かな、何かな?」


 野太く汚い声は楽しげだった。


「わしは虎然(こぜん)」


 訊かれてもいないのに名乗った。


「かわいそうな刀たちを供養するために、あちこち廻っておる者でな」


 虎然は野盗たちをぐるっと見回した。


「おう、おう。お前たちの刀も供養されたがっておるわ」


 虎然のあまりに堂々とした態度に、野盗たちはつい静香のことを思い出した。


 皆、嫌な予感がしていた。


「わけの分からねぇことを言いやがって!」


 自らの不安を消すために我郎は、ことさら大声で怒鳴った。

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