表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹丸  作者: もんじろう
27/105

27

「ああ。虹丸さんが来る前に、えらく大きな法師様が来てなぁ。俺の話を真面目に聞いてくれた」


 新吉の言葉に虹丸の眉が微かに動いた。


「その法師はどこに?」


「虹丸さんが来る前に、ここを出たよ。何でも探してる物があるとか言ってたな」


「………」


 虹丸は考え込んだ。


 しかし。


 そもそも虹丸は数日前に時雨に殺されたはずだ。


 では、この虹丸は何者なのか?


 大怪我をしている様子もない。


 虹丸は、しかめっ面で黙っていた。




 牙次が女剣士(すなわち静香)に斬殺された後、野盗たちの頭におさまったのは我郎(がろう)という男だった。


 自身の強さによって手下をまとめていた牙次と違い、我郎は策を弄する。


 牙次が生きていた頃から進めていた緻密な根回しが、我郎を頭目へと押し上げた。


 野盗の中には、とかく機嫌の変わりやすい牙次が居なくなって良かったと言い出す者も少なくなかった。


 我郎の支配は順調だった。


 ある日の昼間、牙次の斬られた山道を一人の法師が通った。


 あまりに野盗が暴れ過ぎたためか、このところめっきり人が通らなくなっていた道である。


 我郎は、そろそろ違う場所へと縄張りを拡大しようかと思っていた。


(この坊主を最後の獲物にするか)


 我郎は仲間たちに命令した。


 何人かの手下は露骨に嫌な顔をした。


 無頼のくせに妙なところで「坊主を殺すのは縁起が悪い」などと言う。


 我郎からすれば、馬鹿馬鹿しいこだわりだ。


 人、一人を殺すのに何の違いがあるだろう。


 牙次ほど強引にするつもりはないが、手下に舐められてはこれからやりにくくなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ