26/105
26
右肩まで光が進んだところで、新吉は気を失った。
再び目覚めると辺りは夜が明け始めていた。
新吉は、まずは生きていたことに安堵した。
それから慌てて、自らの身体を確かめる。
元の身体に戻っていた。
新吉は歓喜の声を上げた。
喜びのあまり、転げ回った。
獣となった際に衣服は捨てたため、真っ裸の新吉が歓声を上げ騒ぎ回る姿は、もしも第三者が見れば完全に頭がおかしい男だろう。
とにもかくにも新吉は元に戻るという願いを叶えたのだった。
自らの体験を語り終えると、新吉は眼の前の小柄な男にちらちらと視線を走らせた。
新吉の猟師小屋の中だった。
「虹丸さんと言ったかな?」
新吉が言った。
「これが俺の話の全部だよ」
「なるほど…」
虹丸が頷いた。
「あんたも俺の話を信じてくれるんだな。大体の奴は俺を嘘つき呼ばわりする」
「………」
「今日は珍しく、俺の話を真剣に聞いてくれた人が二人も居たよ」
「二人?」