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虹丸  作者: もんじろう
25/105

25

 人目を避け、夜に移動した。


 新吉の獣の眼は闇も見通すことが出来た。


 昼間は洞穴や森の中で眠った。


 山の獣たちは新吉を避けた。


 一度だけ猟師に見つかり、矢を射られたが上手く逃げのびた。


 自分が獲物扱いされることに妙な心持ちになった。


 悲しいのを通り越し、可笑しさを感じた。


 二十日ほど経った夜。


 ある山奥の森の中で、新吉は優しく輝くあの光を見つけた。


 緑色の光だ。


 その位置は自分の目指していた方角そのものであった。


 この光が新吉を呼び寄せたのか?


 それならば夢に出てくる石も納得はいくが。


(石が人を呼ぶだって?)


 身体だけではなく、とうとう頭も獣並みになったのか?


 新吉は苦笑した。


 そんなことは、あり得ない。


 新吉は光へと近づいた。


 同じ石だ。


 やはり脈打っている。


 前の石と同じように地面に食い込んでいた。


 大きさも似ている。


 新吉は石へと手を伸ばした。


 この石を手にしたら、獣になった。


 ならば、もう一度触れれば元に戻れるのでは?


 確信は無い。


 勘だ。


 だが、今より悪い状況などない。


 新吉は緑色に光る石を手に取った。


(戻れ! 元に戻ってくれ!)


 心の中で叫んだ。


 緑の光が強まった。


 新吉は見た。


 石が突然、ぐにゃぐにゃと溶けだして自分の手を包み込むのを。


 緑の光は新吉の身体へと、どんどん入ってきた。

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