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新しい身体は食料を探すときには便利だった。
慣れてくると造作もなく、兎や他の小動物を狩って空腹を満たせた。
自分でも背筋が寒くなったのは、獲物を食べる際に生で食べたいという衝動が起こり、実際にそうしてみると堪らなく美味いと感じたことだ。
身体だけでなく次第に心も獣になっていくのでは?
そう思うと恐ろしくなった。
もうひとつ、気がかりがあった。
獣の姿になった日から、眠る度に同じ夢を見るのだ。
緑色に光る石の夢だった。
新吉が拾った石よりも、もっと大きな石だ。
何かが起こるわけではない。
ずっと石が脈打ち続ける。
それだけだ。
目が覚めると何やら、ある方角が気になった。
そちらへ行かなければならないような気持ちになる。
日増しにその欲求は強まっていった。
新吉は衝動に従うことにした。
どうせ、この姿では家には戻れない。
気になる方角の先に何があるのか確かめよう。
新吉は旅立った。