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すぐに立っていられなくなり、忍びは地に伏した。
獣のように四つん這いで移動する。
このままでは呼吸することさえ叶わなくなるだろう。
(もう、助からない…)
死が頭をよぎった。
(?)
前方に炎と煙以外のものが見えた。
緑色の光。
煙を突き抜け、眼の中に飛び込んでくる。
何の光かは分からない。
だが、忍びは無我夢中で光の方へと進んだ。
そうしなければならないという、強烈な欲求が身体を突き動かした。
それが生き残るための唯一の道だと本能が叫んでいた。
這い進む忍びの両腕が突然、空を掻いた。
地面が無い。
穴だ。
大きな穴が空いていた。
忍びの身体は穴に転げ落ちた。
穴の中心から緑色の光が発せられている。
眼を細めて光の元を見た。
石だ。
大人の拳ほどの大きさの石が柔らかい光を放っている。
(何だ、これは?)
見たこともない物体の出現に己の窮状も一瞬、忘れた。
無意識に両手を伸ばす。
石を掴んだ。
温かい。
それに脈打っている。