Postludium
二人が旅を止めたのは、二つの理由がある。
まず一つは、海を越えた先の島に、ついに聖剣の一つを見つけたためだ。『エンゼル=ハーテッド』と呼ばれる聖剣がそこにはあった。それを見つけてようやく彼は、自分たちがすでにア・ディーヌにたどり着いていたことに気がついた。それゆえ、それ以上西へ旅をする理由がなくなったのだ。
そしてもう一つは、彼女のお腹に、彼の子供を授かったためだ。
長い旅路が二人を強く結び付けていた。
帰る理由も、もはやなかった。
それならば、聖剣を見守り、その島で生きていくのも悪くないではないか。
うん、悪くない。
「名前、何にする?」
「どうせなら可愛い名前がいいよね」
「男の子かもしれないぞ」
「男の子がいいんでしょ」
「姓はエリコにしよう」
「深く愛されたる者、ね」
「母親のなんだけどね、ずっと憧れていたんだ」
「いいね、まずそれ決定」
「それじゃあ名前は」
「エリコに合う可愛い名前ね」
「格好いいのにしようよ」
「だめ」
「だめっすか」
「じゃあ、こんなのどうかな?」
「なに?」
「パンプキン!」
「ええ?」
「パンプキン=エリコ」
「深く愛されたる者へ、恒常の愛を捧げる」
「男の子でもありでしょ?」
彼は肩を竦める。
「よし決定。この子の名前はパンプキン」
ポンと彼女はお腹を叩いた。
数多くの雑多なもの、そして、彼女は……




