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三聖剣物語  作者: なつ
Dear Heart  --愛するものへ--
1/69

※※※※※

一つ。


東と西。

はるか昔、世界は繋がっていた。

それが失われたのは戦いの後のことだ。

何と何の戦いだったのか、詳しいことは分からない。

けれども、その戦いで東と西の繋がりは途絶えた。

それもはるか過去の話だ。

お互いに東と西の存在など忘れるほどに。

西には西の、

東には東の、

それぞれの世界ができた。

再び交わることなどない。

それが幸せだった。



※※※※※

二つ。


「Wanted!!」

 わざと古臭い書体で書かれている。その下にある人相書きは墨で少女の絵が描かれている。丸い顔立ちに大きな目、肩に掛からないくらいの髪を、左耳のところで軽く束ねている。どれほど似ているのかはなはだ疑問だ。

「ショコラ=ロリータ。21歳。王国の宝を奪い現在逃亡中。髪は太陽の色。目は深い茶色。背丈はあまり高くないが剣を使いこなす。少女と思って侮るなかれ。あやかしの術も使いこなす」

 簡単な説明書き。そしてその下には、

「10000$」

 国王のお膝元、ターシャの町。広場にあり、酒場にあり、号外もあり。あらゆる者がそのお触れを見た。



※※※※※

そして、三つ。


「強く生きなさい」

 家を出るとき、反対していた母が言った。

「もう帰ってこなくていいぞ」

 扉に背を向け、酒を飲みながら父が言った。

「……」

涙を流しながら、少年は何も言わなかった。

 大陸では戦争がさらに拡大していると聞く。そんなときに大陸に行きたいなど、彼は何を思ったのか。反対されて当然だった。勘当されて当然だった。それでも、彼は家を出る決心をした。

 一袋の荷物と、護身用の短剣と。

 あとは勇気を携えて。



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