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第九話「海、潮風最高ぅ!(2/3)」

ブオーガタンガタン、ガタンガタン。


「本日は、藤南電鉄をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、快速・津根浜行きでございます。途中の停車駅は・・・・・・」


俺達は、誰一人欠けることなく、電車に乗り込むことができた。

あかりが若干遅れてきたせいで、駆け込み乗車することになっちまったが・・・。

まぁ、それどころじゃなかったからいつもみたいに弄れなかったけど。

無事に乗れたから、今回は勘弁しておく。


乗れたことに一安心したら、周りの景色が良く見えるようになってきた。


そのお蔭で、俺の目の前に、見覚えのない人間がいるという事にも気づく事ができた。


「あ、あの・・・そういえば、貴方、あかりさんですよね?」


「う?・・・うむ・・・」


気づけば、さっきから俺の様子をチラッチラと横目で伺ってやがる・・・。


「ど、どうしたんですか?」


「・・・ど、どうしたとは、どうしたことじゃ・・・?」


こいつ、とぼけてんのか!


「じゃあ、聞くが!!その格好はどうした!?あのお前がなぜ、そんな短いスカートにニーハイにキャミソールに!そんな・・・!!それに!いつもは全部下ろしてる髪もツインテールですか?!別荘着いたらもう寝るだけだぞっっガホ!!」


「桜、ちょっとっ」


せ、誠二?!

苦しい、いきなり服の襟後ろ引っ張りやがって・・・!


「な、なんだよ・・・」


「お前は単細胞か・・・よく考えてみろ」


「はぁ・・・?」


「全く・・・、おばさんの所での一件、気にしてるんだと思うけど」


「おばちゃんの・・・?・・・・・・っは!」


「気づいたか?」


「あいつ、そんなこと考えてやがったのか・・・別に、気にすんなよな」


「分かったなら、さぁ」


背中を誠二にちょっと押された。


「あ、あかり・・・その、なんだな、お前が俺達のこと考えてくれてるのは良くわかったよ。別にな、そんな面白い格好して笑わせようとしなくても、昨日のことは心に刻んで、頭は切り替えているよ。俺達は元気だ!ありがとうなっっっガホ!!」


苦しっ!また引っ張られた。


「桜、お前は単純にバカなんだな」


「ち、ちげーよ・・・分かってるよ・・・」


「?」


「・・・なんつんだ・・・恥ずかしいだろ・・・」


「・・・ふむ」


「っていうか!!なんで俺達、こんな空いてる車内で立ってんだ、座ろうぜ!」


「あぁ、確かに」


「・・・そじゃな」


あかりを挟むように、俺達は座った。

なんか空気がちょっと悪いし、あかりも元気なくなっちゃったし。

このままじゃ胸がモヤモヤすると思ったから、

座り際、俺はあかりに言ってやった。


「あかり、悪かったよ・・・おばちゃんの言うとおり・・・。」


「・・・ん?」


「カワイコちゃんだよっ!」


「!!」


顔は見てないが、雰囲気で、あかりの表情が明るくなったのが分かった。

誠二の「っふ」という鼻で笑った声も聞こえた。聞こえてやがったか。

というか、いつも制服と巫女服しか見たことないから、私服とか新鮮すぎてずるすぎる。

普段見れないモノっていうのは、こんなに胸を打つものだったなんて。

だから、たまに行くライブってあんなに興奮するんだな・・・。


俺達は途中、停車駅ホームで売っているおにぎりやパンを買い、車内で食べ、いつもみたいに、下らない話をして時を溶かしていった。


・・・・・・・・・・・・


電車に揺られること、一時間と半分位。

俺達は、誠二の別荘があるという、津根浜つねはま駅に着いていた。

なんとまぁ、高級そうな別荘が並んでいらっしゃること!

この周辺、金持ちの匂いがプンプンだ。

そして、すぐ歩いたら海か、にしても!


「あーー!潮風が気持ちいいな!」


「じゃな!海などもう何年ぶりじゃろうか!10年はきとらん!」


「さぁ、さっそく海に行きたい気持ちも分かるが、今日はもう別荘で休もう、ついてきてくれ」


「はいよっ!よろしくぅ!」


―――――――――


「これが誠二殿の別荘か!なんて綺麗で大きいのじゃ!てれびも余計な位、でかいのぅ!」


「なんだこりゃ!」


「しかも、てれびの下の機械、さいばーだみ、など書かれておるぞ!からおけとやらができるのか!?」


「家でカラオケし放題とかなんだこの家は!!」


「ま、まぁ二人とも落ち着いてくれ・・・。」


「よし!二階も見てみようぜ!!」


「そうじゃな!」


「・・・まさかこんなにはしゃぐとは・・・」


「うおおお!なんて綺麗な部屋だ!ベットもでけぇ!」


「太郎殿!こっち!こっちにくるのじゃ!」


「んあ!?どこだ!?」


「こっちじゃこっち!」


「おぉ、更に上があったのか!」


「すごいのじゃ、はよう!」


「おぉ、ベランダか!うぉぉ~海が大パノラマだぜ!こりゃすげぇや!」


「二人とも、どうだ?気に入ったか?」


「あぁ、すげぇぜお前、こんな家もってるなんて!」


「ま、まぁ正確には父親のなんだが」


「そんなの関係ないって、オヤジの物なら、お前のもんだ!」


「そうだろうか」


誠二の別荘は本当に広く、設備も整っていた。

風呂場も、内風呂と露天風呂二種類あったし。

カウンターキッチンというのだろうか、そこにもオシャレを感じたし。

ワインが収納されている棚みたいな・・・おやじさんの趣味なのだろうか。

二階も3部屋あったけど、ひと部屋ひと部屋広すぎる。

ベットメイキングも完璧。

もしかして毎日誰かが来て、掃除とかしてるのか?


そしてこの三階、三階は丸々一つの広い部屋になっていた。

そしてその半分はベランダ。

今俺達はそのベランダにいるわけだ。


「・・・・・・のう、太郎殿、誠二殿」


「ん?どうした?」


「その、ありがとうなのじゃ・・・」


「あん?」


「あの時ワチキに声をかけもうしてくれて・・・あれがなければこのような世界をみることもなかったじゃろう・・・そう考えると怖いのぅ」


「まぁ、礼は全部誠二にいうんだな、俺、お前を最初に見たとき有り得ないって思ったからな」


「ぬぅ、ますます怖いのう」


「ふふ、しかし、今日は移動だけでだいぶ遅くなってしまった。明日の為にもう休もう」


「あぁそうだな。ほらっ、あかり、降りるぞ」


「・・・むぅ、わちきはもう少しだけ、ここにおる」


「ぁ?そうか?まぁ、早めに降りてやすめよー」


「わかっておるー!」


「あ、そう、ここの設備は好きに使ってくれて構わないからな」


「あいわかった!」


「桜も好きに使っていいが、水出しっぱなしとかしないでくれよ」


「そんなのわかってるわ!ガキじゃねぇし!」


――――――――――


ベランダ・あかり


「行ってしまわれたか。じゃが・・・本当に久方ぶりの海じゃのう、気持ちいい風じゃ・・・」


「・・・じゃがしかし・・・この洋服は確かに派手じゃったかのぅ・・・あの店員殿は、これでバッチリと抜かしておったのに・・・。わざわざ高い買い物をしてしもたか・・・・・・太郎のやつめ・・・」


「はぁ・・・ここ最近忙しゅうて、頭が混乱しておるのか・・・一度整理せんと・・・ワチキは何がしたかったんじゃ・・・阿呆め」


――――――――――


誠二の部屋


「さて、これからどうしたものか」


「俺がベースをやって、ボーカルを他の人に任せるというのも・・・」


「いや、だめか・・・きっと桜は納得しないだろうな・・・。」


――――――――――


桜の部屋


「あいつめ・・・、ネタをいちいち気にしやがって。軽く恥かいたじゃねぇか・・・」


「でも・・・・・・。」


「だめだ!何ドキドキしてんだよ俺、気持ち悪い!」


「さて、さてさて、折角こいつを持ってきたんだ、軽く練習してから寝よう」


――――――――――


翌日。


「おはようございます、皆様方。」


俺は起きて寝癖ボーボーのまま、なぜか食卓に座っている、そして、どういうわけか用意されていた朝食を前にしている。

一般家庭の朝食だ。

中心にはバスケットにパンが積まれていて、皆の皿にはハムエッグと、トマト、レタスなどなど。

マーガリン、ジャム、バターも用意されている。

キッチンの鍋からはオニオンスープのいい匂いがしている。


っていうか、このメイドチックな衣装の、ショートカットのお姉さんは誰ですか・・・。



「おはよう、蓮葉さん」


「おはようございます、誠二郎様。体は休められたでしょうか?」


「あぁ、大丈夫。」


「それと、私の事は蓮葉ではなく、琴実とお呼びください。まだその名を語れるほど・・・・・・」


そんな二人の会話を聞き流しつつ

あかりに視線をやってみると・・・

っぶ!なんだあいつ、フネこいでやがる。一体いつまで起きてたんだよ。


しかし気になるのは・・・


「あの、誠二・・・この人は?」


「あぁ・・・昔から、代々ウチに従えてくれている家系の人で、5代目の蓮葉の娘だ」


「は?」


「要は、6代目になるための修行中の身だ。」


「は?」


「・・・理解する気はあるか?」


「あ、あぁ、え?というか、菊の嬢家と蓮葉家っていうのがあって、菊の嬢家っていうのに、蓮葉家っていうのが、昔から代々仕えてる?」


「まぁ、そういうことだ」


「え?!もう家ぐるみで昔からそういう関係!?」


「そうだと言っている」


「え!?って!誠二!お前そんなスゲェ家の人間だったのかよ!え?めっちゃセレブってやつじゃん?!っていうか菊の嬢家って偉いのか?」


「フフフ、朝から元気なのは良いことですね。」


って、有り得ねぇ・・・今ままで誠二の事ただの格好付けだとか思っていたけど・・・こんな家の出だったとは・・・

家柄を普段からあからさまにしないのは、こいつのすげぇ所だな。


「っは!っここはどこじゃ!」


あ、色気づきねーちゃんが目を覚ましやがったな?


「うおぉう!おぬしは誰じゃ?!っていうか、なぜこのような席にワチキは座っておる?いつの間に歩いたのじゃ!記憶にないわ!」


さっきまで完全に寝ぼけてたんだろう・・・朝食のいい匂いに誘われて、寝ぼけながらここまでたどり着いたんだな・・・なんてやつだ・・・。

服も浴衣のままだし・・・

まぁ、俺も人の事言えないけどな・・・。


「そういえば、皆様には自己紹介がまだでしたね。私は、この別荘を任されております、蓮葉琴実はすはことみと申します。皆様方がこちらにいらっしゃる内はお世話をさせていただきたいと思っております。」


「む?蓮葉か、ではそういうことならよろしく願うのじゃ、ワチキは早乙女あかりじゃ、お世話になりもうす。」


「俺は桜本太郎の助、よろしくっす」


「あら!珍しい名前ですね、全部で11字もあるなんて。誠二郎様でも10字ですのに。」


「な!馬鹿にするなよ!」


「っは!申し訳ございません。・・・話を戻して皆様、私の事は琴実とお呼びください。」


「あい、わかったのじゃ」


「了解」


「では、冷めないうちに、朝食をお召し上がり下さい。」


「おぅ、いただきます!」


正直、昨日の夜は、電車の中でのおにぎりだけだったから、腹は空いている。

なぜか、こうやってお泊りした時とか、外出先の朝食って食欲湧くんだよなぁー。

美味ければなおさら。


「ところで、皆様、今日はこれから何をなさる予定でございますか?」


「ん・・・?」


「んぅ??」


「ん~~・・・特に決めてないわな・・・。」


痛い質問だった、勢いでこっちに来ただけだしな・・・確かに、何か目的があるわけじゃないし・・・。


「そうですか、でも折角海に来たのですから、お昼は海で過ごされてはいかがでしょうか?海で遊ぶのに飽きたら、ちょっとした肝試しに最適な洞窟もありますよ。真夏のお昼でもとっても寒くて、海の波と吹き抜ける風で、異様な音もしますしね。」


「ふむふむ~それは面白そうじゃが・・・まぁでは、昼間はうm」


「私はですね!一人でそこに迷い込んでしまった事がありますが、それはもう真っ暗で恐ろしくて、その場に座り込んでしまいまして、一人で泣いていると、ゴーーーーっと奥から音がしまして、次の瞬間、冷たい海の水が目の前に洪水の様に押し寄せてきたんです、私はそれに飲み込まれまして、もうどうにでもなれって思っていたら、洞窟の入口まで流されて、結局浜に打ち上げられて、まぁ、事無きを得たんですが・・・。」


「って!!それ超危険じゃねぇか!そんな所紹介すんじゃねぇ!って、一人でなんて所に入り込んでるんだよ!」


「あら、あららららぁ、ふふふ、怒られましたね」


「ったく、なんて人だよ」


「でも、その波に飲み込まれる前に、最新部までたどり着けたら、とても綺麗な物が見れるとか見れないとか・・・挑んだ人は何名か知っておりますが、奥までたどり着けた者は数少ないです・・・でも、ご安心ください、その波に飲み込まれても、死人はこれまでで0ですから。不思議と洞窟の壁に激突するというような事もないんですよ・・・。あ、それと、何らかの周期でその波が発生するみたいですから、それさえ攻略してしまえば・・・」


「琴実さんは相変わらず冒険が好きみたいだな」


「え、えぇ、恥ずかしながら・・・でも、この浜は冒険するには最高の場所です。」


「ふふ、ありがとう。とりあえず海にでも行こう、それからの事はまた考えよう」


「うむ、賛成じゃ」


「おっけー」


「あ!今日のディナーは期待してくださいね、腕によりをかけた、うでよりディナーを用意しますからね!」


なんか、琴実さんのキャラがよくわからないけど、兎に角、蓮葉家も由緒正しき家系なんだな、俺みたいな凡人とは違う。

って、あかりも神社の娘だしな、なんか、俺だけ普通だよな、ざ、のーまるだ。


なんか、場違いかもしれねぇな・・・。


朝食を食べ終わった俺達は、各々海へ行く準備を始めた。

って、俺海パン持ってきてねぇじゃん・・・。

どっかコンビニとかに売ってねぇかな・・・。

まぁいいや、居間に降りるか。


お、いつも準備で遅れてくるあかりさんが、一番に準備完了とは。

って、何うなだれてんだ?


「おう、あかり、今回ははえぇね」


「あ・・・太郎殿、ワチキ、水着というのを持っておらんのじゃが・・・」


「んえ!?お前も?!」


「なんじゃ、太郎殿もか?」


「あ、あぁ家に忘れてきた・・・。」


「ふむぅむ」


「まぁ、向かう途中のコンビニとかに売ってねぇかなぁって」


「ほむう」


「お困りのご様子ですね、お二人とも」


「んは!琴実さん、いたのか!」


「居ましたよー、食器を洗い終わって、キッチンの椅子に座っていたんですから。失礼ながら、話は聞いておりました。水着がないということですね。」


「そうなんで・・・」


「それでしたら!浜の近くにマルマルウミウミっていうマリーンショップがありますから、そこで必要な物は全部揃うと思います。私もそこでサーフボードとジェットスキーを買いました。品揃えが半端ないです、お勧めです。」


また人の発言を食いやがった・・・しかし、この人マジで謎人間なんだけど。

多趣味なのか、暇人なのか・・・。

でも、情報はまじでありがたい。


「よしあかり、誠二も来たら、向かう途中で寄らせてもらおう。琴実さんサンクス!」


「いえいえ~楽しんで来てくださいねぇ」


皆集まり、ことみさんに送り出された俺達は、浜へと向かった。

琴実さんの言うとおり、浜のすぐ近くには、マリーンショップがあった。

なんか、すげぇでけぇ・・・海用品だけのホームセンターみたいだな。

入口に銛とか安売りされてんだけど。


「誠二わりぃな、ちょっと水着買うから」


「あぁ、俺は海で使えそうなもの探してる。遊具売り場あたりにいる」


「わかった、準備悪くてすまないな」


「いや、桜らしくていいじゃないか」


「こいつめ!よし、あかりもいくぞ、ささっと決めて、ささっと行こう」


こうして水着売り場へとやってきた俺とあかり。

とにかく俺は、何でもいいからサイズと柄だけみて、直ぐに手にとって会計をすませた。

あかりは?


「ん~~~~~~」


って、一番最初にあかりを見た時と同じ悩み方しているんですが・・・

商品をじっと見て動かない・・・。

それじゃ、選べるもんも選べないだろうに。


「あかり、まだかよ」


「太郎殿・・・一杯ありすぎてどれを選んだらよいのじゃ?」


「えぇ?」


た、確かに女の水着って馬鹿みたいに種類あるよな・・・。

ど、どうすればいいんだ。


「雑誌なんぞでよく見るのは、これじゃな」


んげ、それはビキニだ!しかもマイクロ!

それはダメだろ、ありえん!


「それ、かなり肌を露出しますよ、あかりさん。むしろ変態さんにみられる」


「そ、そうなのか、た、たしかに上下に布が別れておるわ・・・」


困ったな、あまり誠二を待たせたくないんだけど・・・


「のう、太郎殿・・・太郎殿はどれがいい・・・と、思うかの・・・」


「え?!おれ?!」


「そ、そうじゃ、太郎殿の目で見て、選んでもらうのが・・・一番じゃ」


なんですと・・・これは、荷が重いことになってきたな。


「ん~~~じゃ、じゃあこれは?」


選んだのは、無難にワンピース型。

ワンピース型といっても、トップスとボトムは分かれてるけど、ボトムにスカートが着いてるから、まぁ、一般的でしょう。

女の子なんだから、多少ヘソ出しはしないと・・・。


「こ、これでよいのか?これも上下分かれておるが、大丈夫かの?」


「だ、大丈夫だろう。大丈夫だ、試着してみろ。」


「あい分かった」


「店員さーん、この子の試着お願いします」


「はい、かしこまりました」


きっと大丈夫なはずだ・・・今ままで意識してなかったけど、まぁ身長は若干低いけど、線は細いし・・・出るところは出て・・・って何考えて・・・!というか色白だから太陽に当たると死人かと思うんじゃねぇか。


「太郎殿~おるか?」


「あ?あぁ、ここにいるよ~」


ったく、店員の前で恥ずかしいじゃないかよ。


「はい、できました。さて、お披露目タイムですね」


お披露目タイムって?!この店員なにいってんだよ。


シャーっとカーテンが開かれる。


くは!!!!!


「ど、どうじゃろうか?」


う、うわぁ!こ、こりゃ、やばいって・・・正直、イイと思うし、なんちゅうか、こんちくしょう!!!

やっぱり、普段見慣れないかっこうされると、グっとくるもんだろ、そうだ、誰でもそう思うはずだ。

普段四足歩行の猫が、たまに二足歩行する時あるだろ、あれもグっとくるし、そうそうあれと一緒だろ。


「・・・た、太郎殿・・・何か言ってもらわんと・・・その・・・」


「あ、あぁ・・・いい、と思うよ、それで行こう」


「本当に大丈夫かの?いそいで決めてしまいたいとかではなかろうな?」


「んなわけあるか、いいと思ったから大丈夫だ。」


「んふぅ!では、これで決めるのじゃ!」


「ありがとうございます。では、お会計はあちらのレジ担当員が承ります。」


「あい分かった」


あかりはレジに一直線。

売り場には俺と店員が残される。


「お客様、流石ですね、一発で彼女さんの体にぴったりなものを選ぶなんて、雰囲気にもあっていて、素晴らしいと思いますよ」


「か、かの!?いや、違いますよ!」


「え?違うんですか?!うそ、違うんですか?」


「はい、違います」


「うそぉ・・・じゃあ、ただの変た・・・ゴホン」


「店員!!今客に向かって、変態って言おうとしただろ!普段から女の体ばかりみているから、一発でサイズとか分かったんだなコイツと、言わんばかりのその顔やめてくれ!偶然ですから、ただの偶然ですから!」


「わ、分かりましたよ、そういうことにしておきます」


「っち」


「待たせたのじゃ、海に着いたら直ぐに入れるよう、下にきてきたのじゃ」


「あぁ、賢いな」


こうしてやっと海に入る準備は整った。

はぁ、なんかどっと疲れたよ、既に・・・。



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