表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

第四話「これが俺のギター・・・」

俺の名は「桜本 太郎の助」。

ギターも何も弾けないのに、今度の学校祭のバンドで、ギターをやる羽目となった。


昨日は、「早乙女 あかり」のオヤジさんに殴られまくってホントに洒落にならなかったが、まぁ、結果オーライ。

早乙女がドラマーとして参加してくれることとなった。

この活動が終わったら、早乙女のやつ・・・オヤジに殺されるんじゃねーか。

まぁ知ったことではないけどな。


そして、今日もくだらない学校が始まる。


「ごきげんよう、桃太郎さん。あれから菊の嬢様とのご関係はいかがかしら?」


「あ?なんだよー朝から」


「あ、桃太郎、顔怪我してるー!なに、喧嘩でもしたの!?」


「はぁ?」


「いけませんわ、真知子さん、お二人の関係にはもう入る余地はないのですから」


「えぇ、そうね。幸子さん、喧嘩するほど仲がいい、素敵なことだわ!」


「あぁ?さっきからなんだよーお前ら。用がないんだったら、席についてろ」


「ほら、きましたわ!わたくし達を追っ払い、菊の嬢様とのあんなこと、そんなことの妄想をするつもりなのでございましょう?」


「いやぁぁあぁ、それ以上言わないで幸子さん!考えただけで、私・・・あぁ、菊の嬢様かわいそうに・・・こんな太郎なんかに・・・」


「あーーうるせぇな!あっち行ってろ!」


「ふん、つまんないの・・・。あ!幸子さま!菊の嬢様がご登校よ!」


「あら、本当ですわ!きくのじょー様ーーーー!」


やっと消えたか・・・まぁ朝は大体こんな感じだ。

女共のいやみったらしい会話をきいては、誠二がくるのを待つ。

誠二には悪いが、あいつがきたら、もう俺は寝るだけだから。

あとは・・・睡魔がくるのを・・・まつ。


「おぬし!太郎殿と誠二郎殿はどこにおるかわかるか!?」


気のせいか?今早乙女の声が聞こえた気がするんだが・・・。


「ん、おぬし、ここか?太郎殿と誠二郎殿の組は!」


ん?なんだなんだ、間違いなくあいつの声だが。


「おお、おったおった!太郎殿!!誠二郎殿!!!」


ちょっと・・・見てみっか・・・。うわっ、入り口にいやがる!

しかもあの制服、まったく違う高校のじゃねーか!何やってんだよあいつ。


「幸子さん、何かしらあの子、あたし達の菊の嬢様に向かって下の名前で読んでるし!」


「えぇ、真知子さん?ちょっと許されないことですわよ?」


「太郎殿!」


「うわ!いつの間に俺の前にキタお前!」


「ふふん、ワチキをなめるでないぞ!それより、これを見るのじゃ! あ、誠二郎殿もくるのじゃー!」


・・・・・・昼休み・・・・・・・


「いやー太郎殿の学校は面白いなぁ、皆バカでわちきの学校とは大違いじゃ」


「レベルが低くて悪かったな・・・で?自分の学校サボってまで、何のようなんだよ」


「うむ、中々できることじゃない」


「誠二殿、太郎殿まぁまぁ、見るのじゃ!」


「ん?なんだこれ?新聞に挟まってるチラシじゃねーの」


「そうじゃ!GIGUYAのチラシじゃ!」


「ん、これによると・・・桜、今日はギターの特売日みたいだな」


「え?まじ?」


「そう、ギターの特売日なのじゃ、太郎殿、ギターも持ってないのじゃろう?」


「あ、あぁ、そうだけどよ。わざわざこんなものを見せにここまで来たのかお前は!」


「そうじゃが」


「ばっかじゃねーの!?こんなん電話でもメールでもくれればいいことだろう!」


「いや、しかしだがな~・・・ワチキ、お主等から電話番号というものを教えてもらってないのじゃ」


「う、まぁたしかに考えてみたらそうだな・・・でも学校サボってまですることじゃないだろ!」


「まぁ、何はともあれ太郎、これで買えばやっと練習ができるというものだ。」


「ま、まぁな・・・しかし・・・チラシだけじゃきめらんねーな・・・学校終わったら行ってみるよ」


「うむ」


「そうじゃ、早くこうて、ワチキの練習に付き合っておくれよ」


・・・・・・・放課後・・・・・・・


学校が終わり、俺はGIGUYAへと、単身向かった。

奴らめ、なんだかんだいって買い物には付き合ってくれないのな。

まぁ、大きな買い物は一人でゆっくりと決めたいからちょうど良かったんだが。


「いらっしゃいませ」


ここの店員はあまり好きじゃない。

接客業の癖に、髪は真っ赤、ピアス。ボウズ。こいつは女か、そのくせ背が超でけぇ・・・180くらいあるんじゃないか。

女の色気ってもんがねぇなー・・・。ボウズ・・・。

まぁ、いいや、探してみるか。


なるほど、確かに安くなっている、全体的に2割引きはされている感じか。


「お客さん、うちのチラシみてきたのかい?」


「え?」


「ギター見てるからさ、安くなってるだろう?」


いきなりため口か、客にむかって・・。


「まぁ、安い・・・」


「初めてギターやるの?」


「あぁ」


「ならこれがいいよ、素人の手にしっくりなじむ感じが」


「あ、あぁ・・・」


確かに、俺の体にしっくりくる。

それから店員は次から次へと俺に手渡してきたが、どれも気が抜けたような、ただ、ギターだけというイメージで。

結局何分、何時間たっても決められなかった。


「・・・仕方がないねぇ・・・。最初の買い物だからそうなるのは分かるけど・・」


「す、すいません・・・」


なんで俺が謝ってるんだ・・・。


ドクン


「・・・ん!」


「どうしたんだい?」


ドクンドクン


「!!!」


「大丈夫かい?」


「店員さん、今なってるこのギターは?」


「え?いまなってるこのギター?」


ドクン


「ホラ、またなった、なんか・・・俺を呼んでるような・・・」


俺は、その衝動にかきたてられ、自然に店の奥へと脚を進ませた。


「ちょっと、お客さん、そっちは倉庫だよ!」


ドクン


「まただ、なぜそんな悲しそうな音をだすんだ?お前は」


こいつか・・・。

そいつは、倉庫と店の間の通路に横たわっていた。

ほこりをかぶり、傷だらけであった。


「あぁ、こいつかい・・・?」


「あぁ、なぜこんなことに・・・」


「入荷したときから不思議なほど買い手がなくてね・・・いまどきのモデルじゃないのかしらね」


「・・・・・・」


「お客さん、こいつはもう処分しちまうものだから、ほら、店に戻るよ」


「・・・こいつにします。」


「え?」


「こいつが、いいんです。」


そいつを手に持ったら、俺にとてつもない安心感が流れ込んできた。

ギターも安心したのか。ギターから熱が伝わってきた。

こいつとなら、一生付き合っていけそうな気がした。


「こいつに、決めます。」


「えぇ?・・・そうかい?なかなか決められなかったお客さんがそう言うんだ、よほどなんだろうね」


「おいくらですか?」


「・・・・・・いいよ、ただで、あんたなら、もっていきな」


そういうと、店のなかに、一人戻っていった。

意外にいい人だったのかもしれない。

ただ、好みではないけどな。


そうして俺は店を出た。

いい買い物をしたな、まぁタダだったのだが。

俺が、お前を完璧にしてやるからな!


ドン!


「いっつ!」


ギターをみて歩いていると、いきなり体にすごい衝撃が走った。

みると、目の前には・・・怖そうな人が・・・。


「おい、おんし、今ワシにぶつかったんよな?白いスーツに汚れがついちゃったんだけども」


「え?あぁ?」


「なんか、言う事あるんとちゃいますか?」


「え?あ、あぁ、どこ見て歩いてんだよ?」


「んだと、このがきぁぁぁぃぁいあぁぁぁぃあぃあ!!」






次回「やくざにやっちゃった」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ