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隊商

 10台あまりの馬車が円陣を作って置かれている。魔物に対しては有効だろうが、夜襲をかける盗賊団に対してはあまり効果がない。

 隊商の人間の半分くらいは倒れて動かないか、動いている者も負傷しているようだ。

 そう遠くなく全滅するだろう。あまり目立ちたくは無いとはいえ、流石に見て見ぬ振りはできない。

 助ける事にした。


 キャンプから少し離れた地点に着地。闇の中を無音で走る。

 集団の外側にいる盗賊の口を塞ぐのと同時に、頸動脈と気管を掻き切り頭を後ろに引く。こうすれば声も立てられない。肺の空気が気管から漏れる音と、血管から血が吹き出す音だけだ。この喧騒の中では誰も気づかない。


 殺人は平気なのかって?

 この世界では人命は限りなく軽い。庶民ならせいぜい銀貨数枚くらいか?

 どのみち盗賊は捕まれば死罪なのだ。俺は前世の記憶があるし、この世界で生まれた時から心は大人だった。

 だが、今の俺が育ったのはこの世界だし、肌で感じる常識もこの世界のものなのだ。

 正当防衛と悪人に対する殺人は躊躇しない。


 わずかな時間で盗賊の半分、20人くらいを倒した。

さすがに気づかれたらしく、動揺が広がる。

 助けに来たなどと言うと、人質を取られる可能性がある。

 身近な者から何も言わずに倒してゆく。言葉を交わすのもこの場合は駄目。目的不明の第三者が乱入したと思わせるのが一番良い。

 俺の剣速だと、水平に刃が入れば簡単に首が飛ぶ。

得体の知れない魔物に襲われたと思ったかもしれない。

 程なく盗賊どもは逃げ出した。

 もちろんこの周囲は俺の支配空間となっている。

ある程度の大きさの命のあるものは、俺の感知から逃げられない。殲滅するのにたいして時間はかからなかった。


 このまま姿を消しても良かったのだが、生き残った隊商の人達もほとんどが怪我人である。

 もう少し面倒を見るべきだろう。

 で、俺は隊商のリーダーらしい身なりの良い中年の男性の前に立って気がついた。

 突然乱入した、上から下まで真っ黒の衣装を付けて盗賊団を、皆殺しにした子供。思いっきり怪しい。

 どう見ても魔物かその類だろう。

 

 どうしたものか。今から消えたらもっと怪しい。

子供の姿をした魔物の噂が出るのも避けたい。

 組織の薬を飲まされて子供にされてしまった。

駄目だ、そもそも組織ってなんだ。

 考えろ俺!


 その時閃いた。

前世で姉に教えてもらった、魔法の言葉。

知らない人にも、怪しまれずに仲良くなれるはずた。


 俺は一歩踏み出してニッコリ笑って話しかけた。


 「やぁ、僕は魔剣士のジップ。悪い魔剣士じゃ無いよ」


 一瞬、周りの温度がかなり下がった気がしたのは何故だろう?



 

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