準備
俺は中央海の東の夜空を飛空していた。
地上から俺を見る事はできないだろうが、俺にとっては星明かりだけで充分地上を見る事ができた。
何故こんな事をしているかというと、まずは瞬間移動できる範囲を拡大する事。大きな町などに瞬間移動する時、人目につかずに出現できるポイントを確保する事。
活動できる世界を拡大するついでに、未発見の鉱山などを見つけて、金や銀、その他役に立ちそうな物資を集める事。
わずかながら存在する図書館的なものを回って、過去の魔王との戦いや、勇者の話を集める事。
そしてこの世界の地図を作る事。
航空写真も無く測量法も発達してないこの世界では、町とその周りの狭い範囲以外正確な地図というものが存在しない。
広範囲になればなるほど、大まかな位置関係しかわからない物も多く、製作者によって全く違う地図になっている。よくわからない部分は竜や海獣が描いてあったりする。
魔王との戦いがどのようなものになるのかはまだ不明だが、戦うなら充分な数の兵員は後日の検討事項になるとしても、過去の戦いと相手の戦力情報の入手。資金、物資の調達。正確な地図。情報の正確な伝達方法の確立。
自分を鍛えるだけじゃ無くて、事前に準備をしておかなければならない事が無数にある。
つまり兵站を考えずに戦うような無謀な真似をしたく無いのだ。
勇者御一行様が集まったあと、前回の戦いの後世界中に飛び散った宝具や武具を探しながら、能力や経験値を上げて魔王と戦うのがお約束らしいが、集まった段階で魔王に殲滅される事だって無いとは言えない。
今現在、他のメンバーも俺と同じように準備しているのかもしれないが、当てにはできない。
なぜ夜にやっているかと言えば、スマホもパソコンも無いこの世界の人達は目が良くて、おまけに身体強化魔法みたいなやつもあるため、昼間の飛空はかなり高空を飛んでいても見られる可能性があるのだ。
現状、自分の能力や存在はあまり人に知られたく無い。
そろそろ一休みと考えていた時、眼下に隊商のキャンプが盗賊団に襲われているのを見つけた。