東方国
師匠に師事して1年くらいした頃、師匠に誘われて故郷の東方国に向かった。
そこは大陸の東の果てにある島国で、なんとなく前世の故郷、日本の国を思わせる、どことなく懐かしいような気のする国だった。
あちらこちらを案内してもらって、師匠の家に向かう。
師匠の家は、俺の故郷で言うと高級騎士の家柄で、本来は師匠が後継だったのだが、剣狂いであったため弟が継いでいるそうだ。
師匠の家に着いて、弟さんにあいさつ。歓待してもらった。
そして屋敷の裏にある大きな祠に行く。そこには、しめ縄を巻かれた大きな石があり、一本の刀がささっている。
「これは、いつの頃からか我が家が祀る事になった、
古い古い時代の遺物じゃ」
「いつか、勇者が来て、抜いて行くと伝わっておるが、まだ誰も抜いておらん」
「何代か前の当主の時代に勇者が来たが、抜けなかったそうじゃ。もちろん、わしにも抜けん」
「お主抜いてみい」
「俺は勇者じゃなくて、その従者ですよ。そもそも資格がないじゃ無いですか」
「勇者は勇者の剣を使って魔王と戦うと聞いておる。
そもそもこの剣を使わないのでは無いじゃろうか?」
「勇者のもので無いなら、その従者の剣士の物であっても不思議では無い」
「お主も剣については、もう免許皆伝だが、剣だけならともかく、そこに魔法をのせてふるうとなると、どんな名剣であろうと数合もたないであろう」
「その刀は、ヒヒイロカネで作られておる。それなら魔法をのせようと、こわれることは無い」