オオトカゲ
「軽く見積もっても20年、30年はかかる計画ですが、
時間をかければ横槍がはいります」
「とは言え、組織を作って運用するには人材不足が必要で、大陸中に広がる流通と情報の網を張るだけの人財はいない」
「そこで、ここカナンから北に向かい、イデア共和国の首都ガムラ、中央海を渡ってカロン、神聖ガーマ帝国の首都のガーマへ向かうルート
「西に向かって、アメリナ帝国のウェルズ、首都のヨークへ向かう第二ルート」
「この2つを作りましょう。イデア共和国は商人の国です。大陸中に散って商売をしています。うまくいっているのを見せつければ、利に聡いイデア商人が寄ってきます。吸収して傘下にするなり、提携するなりすれば、ルートは大陸中に広がります」
アイデアと資金は出したが、細かいことに関してはトルネン商会にお任せというか、丸投げ。
俺には考えた事を現実にするノウハウが無い。
収納魔道具の製作に励もう。
魔石を集めるために狩に出た。
町の周囲には魔石を持つほど強い魔物はいないが、国境の西レムリオ山脈まで行けば沢山いる。
月明かりの下、地上を見ながら飛空してるとオオトカゲ発見。体長が10mくらいありそうな大きな個体だ。
剣を振りあげて、下降の勢いと背筋を使って思いっきり
振り下ろす。
スピードの乗った良い太刀筋だと思ったが、剣が折れた。飛び退きながら、収納から新しい剣を出して構える。トカゲの尻尾の攻撃。剣で受けるが再び折れる。
手が痺れ感覚が鈍い。
トカゲが飛ぶ。異世界のトカゲは空も飛ぶのか?よく見れば背中に小さな羽がある。あの羽で飛べるわけはないので、俺と同じような魔力を使っているのか?
異世界トカゲ侮れない。
口を開けて火炎を吐く。短距離転移で避けるが、甘かった。横からきた尻尾の直撃で飛ばされて木を何本か薙ぎ倒しながら地面にめりこんで止まる。
口に入った土を吐き捨て、ダッシュ。
トカゲの正面で反転するふりをしながら後ろ回し蹴り。
頭にクリーンヒットするが、クビが強いらしくダメージを与えられない。
抜き手で目を狙うがまた横から尻尾攻撃。
もう一発綺麗にくらったら無事では済まない。
空間カッター発動。尻尾を切断。物質をわずかな厚さで転移させてしまい、連続を断ち切る必殺技だ。
なんでも切れる。
切った尻尾が襲いかかってくる。さすがトカゲ、生命力強い。
何回か打ち合うと動かなくなった。気づけば本体もいない。トカゲが、切れた尻尾を囮にして逃げるのは知ってたのに。
魔石とり損ねた。残念。
剣を折るほどの硬い皮だったので、尻尾は拾っておく。牛馬ない大きな尻尾なので売れるかもしれない。
さぁ、次の獲物を見つけて魔石を集めねば。