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トルネン

 カナンの商人のトルネンさんの所へ遊びに来た。

大きな取引の時は自分で隊商を率いるのだが、普段はカナンの商会にいる。

 あれから何度か遊びに来ていて、最近では貴金属や宝石の原石の換金などもしてもらっている。

 今回は前から作っていた、ある物が完成したのでそれを見てもらいに来たのだ。

 

 まずは北方のお土産を渡して挨拶。そして会長室に移って商談。

 

 「トルネンさん、これがこの間から作っていた、物資運搬用魔道具だよ」

 「ここの複雑な穴にピッタリに加工した魔石を嵌めて、収納したい物に意識と袋の口を向けてこのスイッチを押す。魔力を使える人間なら誰でも使えるんだ。収穫した野菜や果物は大丈夫だけど、人間や動物はダメ。多分精神をやられる」

 「同じ魔石が2つあるから、あらかじめ受け取る場所に支店を作っておいて、届け先でまた魔石を嵌めてスイッチを押せば荷物が収納から出るんだ」

 「魔石さえ合えば入れる人間と出す人間は別人でも大丈夫」

 「魔石が無ければ途中で奪われても開けられない。魔石の鍵の加工は僕しか作れない。できてもすごく労力とお金がかかるから多分割に合わない」

「一度に収納できるのは馬車3台分位」


「なんと、それを使えば隊商のほとんどはいらなくなってしまうでは無いですか?」

 「腕のたつ数人のパーティで運ばせれば、運搬コストも隊商に比べて桁外れに少なくなる」

 「儲けも、とんでもなく多くなります。私の所はお持ちになったという事は、私に売っていただけるので?」


 「実は僕は将来、勇者と一緒に魔王と戦わなければならないんだ」

 「僕は安全な運送網、交通網をつくり、大陸の各国の物資とお金の流れをコントロールして、戦いの前に兵站を整えたい」

 「さらにそれを使って、正確な情報網も欲しいんだ」

「それにこの収納魔道具を国家に渡すと軍用に使って、魔王退治じゃなくて大陸制覇を考える奴が出てくるかもしれない」

 「流通経路が確立されて、それが各国の経済に無くてはならない物になってしまえば、お互いに牽制して下手に手を出せなくなる」

「船を使った運搬はたくさん運べるけど、今の航海技術だと難破も多いから確実なのは陸路なんだ」

「貴金属と宝石で良ければ資金も出す。僕は子供だし信用も無い。それにいろんな事情で表立って動きたくないので、一緒にやってくれる仲間が欲しいんだ」


 「只者では無いと思ってましたが、貴方は勇者との仲間でしたか」

 「面白い。このトルネン、伝説を作るのに、ぜひ参加させていただきます」


 カナンの滞在は1ヶ月に及んだ。

 現在の街道は元々あった町と道を繋いだ物なので、宿場の間隔がまちまちである。

 各国の都と大きな町を繋いだルートを見直し、旅人が安全のため、昼間の移動だけで済むように、中継場、具体的には宿場と宿場の間に簡易な宿と馬の面倒を見れるしせつ、酒場、雑貨を置く店舗を設置したい。

 ゆくゆくは、宿場にすることも考えてそのあたりの土地は買い占めておく。

 情報網の一環として、魔道具を使った運送業だけでなく定期便を出して郵便業務も行う。 

 各地の支店を利用して為替業務。銀行業務。

 そのあとは駅馬車を使った人の安全な移動手段の確保。

 全て、原型は既にこの世界にあるが、組織化するという発想がまだ無く、それを可能にする資金は王侯貴族とそれに連なる一部の大商人が握っており、一般的な民間資本などは無いため、基本町単位のブロック経済の寄せ集めであった。

 農業の発展より商業の発展の方が税収が上がるとか、消費が経済を押し上げるという発想は無い。

 この大陸で、都以外の豊かな地域は、鉱山や迷宮がある場所が多い。

 







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