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轟魔機吼デモンデウス  作者: 貴宮アージェ


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第13話 魔神驚動~Happening the DemonDeus~ part1

1.


午前の昼前の青空の天気。

そんな日向の川辺の土手の草むらに1人の少年が寝転がっていた。

風貌的には学生と思しき格好の黒髪の青年は学校の授業をサボったらしく、ここで昼寝を決め込んでいる様だ。

とそこへ彼に向けて話掛ける人物が現れる。


「やっぱりここにいたね」


声を掛けられた少年は片目を開けて上の方へと視線を向けると1人の少年が己の頭上に立っていた。

容姿は少し長めの白髪で銀色にも見える様な色合いでそれ以外を除けば至って普通の好青年と言った風貌である。

寝転がってた少年―――ゴウは露骨に不機嫌な表情を浮かべる。


「―――ンだよ。何しに来たんだよレイアム」

「そういうキミこそ、いつものサボりかい?」

「見てわかるだろうが・・・・・」


愚痴を零しながら上半身を起こす。

その隣にレイアムと呼ばれた少年は土手の草むらに腰を降ろす。


「不良ぶってる優等生が何か言ってるよ」

「ハッ、優等生ぶってる不良生徒が何言ってやがる」


ハハッとお互いに笑い合う2人。

そこへ更に2人の方へと近づいて来る。

容姿は今時の女子高生とも言える風貌で歳はゴウとレイアムより年下といった感じだ。


「2人で何を話しているのかな?悪だくみ?」

「正解」

「―――何言ってんだよ。おまえもコイツの言い分全部間に受けんなよ」


朗らかな表情で冗談を言うレイアム。

それに呆れた様子を見せるゴウを尻目に少女はクスクスと笑いながら二人の後ろに立つ。

同時に気持ちのいいそよ風が吹き、3人を包む。


「こうしていられるのもあとどれぐらいかな・・・・・」

「どうしたんだい唐突に?」


少女の言葉にレイアムは疑問を呈する。

少年の疑問に「ンッ」と言った反応を挟んで言葉を繋げる。


「いつまでも一緒にいられないでしょ私たち。大人になったら自立しなきゃいけないんだし、それぞれの道もあるんだし。いつまでもみんなと一緒にいられる時間も少なくなるだろうし・・・」

「確かにね。ボクらも常に一緒にいられるのも少なくなるだろうしね―――」


少女の言葉に銀髪の少年は少し憂鬱な表情を見せる。

だがもう一人の少年は何を言うかと言った表情を見せながら少女らの言葉に答える。


「別に2度会えなくなる訳じゃないだろ。時間が少なくなるだろうと会える機会を作ればいいだけの話じゃねぇか。簡単には変わるモンでもねぇだろ?」

「―――相変わらずキミは楽観的いや前向きだねぇ」

「おい!」


そんな様子で笑い合う3人。

いつもと変わらない日常。

終わりがあるかもしれないけども

それでも―――この日常が長く続くようにと・・・


しかし、そんな淡い期待も望みも脆くも崩れ去った。

燃え盛る炎、所々に建物に刻まれる切り傷とも言える崩れた壁。

床には無造作に転がる人と思えぬ変わり果てた有象無象の屍。

中にはヒトの形を保ったモノもいたがそれ以外は機械とも獣とも取れぬ異形へと果てた姿もあった。


「ッ―――クゥ・・・・・!!」


屍の山からゴウは苦しみを漏らしながら立ち上がる。

自分を含めた多くのモノが“機怪化獣”へと改造され掛けた結果、大半が変化に耐え切れず拒絶の末に朽ち果てた。

己の身体が異形の怪物へと変わろうとする拒絶の痛みと苦しみに悲鳴を上げながらもそれを抑えながら歩みをゆっくりとだが進める。

周囲を見渡すと“ソレ”が彼の視線へと入る。


「――――!!アスカ!?」


有象無象の残骸に見覚えのある形を見たゴウは即座に駆け寄っていく。

少女は横たわり、もはや生気のない虚ろな目のまま倒れていた。

ゴウは駆け寄り、アスカの身体を抱き上げる。

しかし、アスカと呼ばれていた少女は今までの様に動くことは・・・。


「―――ッ、アスカ・・・?」


抱き上げたアスカであった少女の身体はだらりと腕を垂らすも反動でゴトリと崩れ落ち、そのまま塵の様に消え失せる。


「――――あ、あ・・・・・あ・・・アアアアアアアアア!!!!!!」


ヒトの声とは思えない様な叫び。

あまりにも凄惨過ぎる現実を受け入れらず、悲痛な叫びを上げる。

友達として親しかった者たち、時折喧嘩しながらも楽しく過ごしていた者たち、

自分らの親代わりだった者たち。

そんなほんの少し前までは共に過ごしていた家族とまでは言えないが近しい人間だった者たちの変わり果てた姿は平常さを失うには十分だった。

そこに近づく人影が姿を現す。

銀色に近い長めの白髪が特徴のゴウが良く知る青年が距離を置いて立っている。

物言わぬ少女だった存在を抱えたゴウは怒りと戸惑いと憤りの表情を浮かべながら

見知っている青年を睨み付けながら叫ぶ。


「何故だ・・・・・何故、こんなことをしやがったんだ!答えろ、レイアムゥゥゥゥゥ!!!」

「――――――」


青年は答えない。

迫りくる炎が周囲を徐々に燃やしていく中、全てを包み込む憤怒を表す様に紅に

染まっていく。

2人の沈黙を余所に轟々と燃え広がっていく炎。

燃え盛る炎と有象無象の屍に囲まれた状態で対峙する両名。

沈黙を破る様に白銀髪の青年は冷静にかつ冷徹に一言だけ言葉を放つ。


「―――これは、キミにとって必要なことなんだ」


再び見たあの悪夢にゴウは上半身を起こす。

いつもの隠れ家としている廃墟となった建築途上の建物。

鉄骨のベッドから身体を動かし、おもむろに立ち上がる。

かつて友人であったレイアム。

その男が起こした凶事は時折、彼の夢にフラッシュバックの様に揺さぶり起し、

彼を蝕む。

たった数分前まではいつもの風景であったものが一瞬で地獄へと様変わりすることへの苦しみは想像を絶する。

そして夢の最後に必ずあの男の言っていた言葉が脳裏に焼き付き離れない。


“これは、キミにとって必要なことなんだ”


「――――――クッ」


やりきれない怒りと不満を拳に載せて壁に叩き付ける。

建物が崩れるかもしれない揺れが響くほどの衝撃が壁を通して伝わっていく。

それはかつて友人であった者への怒りではなく、あの時の己の不甲斐なさと無力さに対しての怒りであった。


(何故だ・・・・・何故俺だったんだ・・・・・レイアム!!)


2.


アキラは不思議な空間に独り佇んでいた。

ベッドに身体を預け、眠りについたはずだったが服装は制服のまま、気が付いたら

ここに立っている。


(――――ココハ・・・?)


まだ脳が覚めていないのか、心ここに非ずな様子でアキラは周囲を見渡す。

そこは真っ白い何もないかの様な地平線から天井まで何もかもが白一色の世界。

唯一アキラだけがその空間における色である。

次第に己の意識もはっきりし出したアキラは状況を整理し始める。


「え~と・・・確か私を助けてくれた警察の人に一言お礼を言付けてあの後家に帰って・・・」


その後、部屋に着替えてそのままベッドに寝転がった後、眠気に襲われていつの間にか眠りについて


「気づけば、一面真っ白の・・・空間?」


前後の記憶が眠気もあってかかなりあやふやな為、なんで自分がここにいるのかますます分からなくなってきた。

そんな混乱する彼女を尻目に空間が変化を始めていく。

アキラ以外にはなかった無音の空間に“音”が鳴り始めたのだ。


「――――音・・・・・時計の?」


アニメやゲームなどで聞いた憶えのある古い時計台の音。

それが徐々に空間に攪拌していく中、アキラは時計の音が鳴る方向へと視線と顔を

向ける。

するとアキラ以外は真っ白な空間だけだった世界に明確な変化が起きた。

彼女の視線の眼先にはテーブルと2つの椅子が鎮座しており、

椅子の一つにこちらの方に身体を向けている人物らしき物体が座っており、机の上に置かれているチェスの駒らしきものを

暇そうに退屈な仕草をしながら弄っている。

その人物はアキラも見覚えのある風貌だった。


「あの子は―――――確か」


ハッキリと記憶が鮮明に浮かび上がる。

それはお互いに面識があった訳ではないのだが学校内で何度か見かけたことがあるからだ。

そんな彼女はなぜこんな場所に?―――疑問が尽きないがじっとしても仕方ないと

判断したアキラは彼女の方へ歩みを進める。

少女は顔を上げず、向かってくるアキラに声を掛けた。


「やあ、ようこそ。この場所は初めてだよね“今のキミ”は」

「――――どういうこと?」


唐突な言葉に歩みを止めたアキラは動揺の感情を見せた。

それを見た彼女はクスりと意地悪な微笑みを見せ、更に言葉を続ける。


「まあ、キミが覚えてないのも仕方ないね。キミ自身が“記憶を継承している”訳じゃないからね」

「記憶を継承?どういうことなの―――それよりもあなたは一体・・・」

「混乱するのもしょうがないね。だけどもキミもまた彼らと同じく“紡がれているんだよ”」

「紡がれている?それって―――」


それを聞こうとした途端、空間が歪んでいく。

同時に少女もまたアキラから遠ざかる様に空間が離れていく様に歪む。


「あ、待って!!」

「また逢えるよ。その時は多分、キミも全てを理解すると思うからね」


言いながら少女はそのまま消え去っていく。

空間の歪みは徐々に収まり、代わりに背景が先ほどとは違って黒を中心とした空間へと変貌する。

それが宇宙空間だと気づくがアキラは不思議と苦しさを感じてはいなかった。


(そこは“かつて”の記憶。キミや彼らが共に戦っていた時の残滓さ)


先ほどの少女の声が脳裏に響くもすぐに彼女の反応は別の物に切り替わる。

彼女の視線の先には異形の怪物たちが有象無象と魑魅魍魎の如くその姿を現し瞬く間に宇宙の背景を塗りつぶすしていく。

怪物は無機物と有機物とが混ざり交じった混沌とした風体なまさしく異形そのものが縦横無尽と埋め尽くしている。

そしてその異形の怪物たちを無数の光弾が無惨に打ち砕いていった。

アキラは光弾が飛んできた方向へ視線を向ける。

そこにはインフェルノバルカンに類似した無数の銃身を備えた機関砲を両手に携えた見覚えのある黒い機械の巨人の姿を見た。


(デモンデウス!?)


アキラの驚きを余所にデモンデウスは撃ち尽くした機関砲を放棄すると新たにデモンズハーケンを取り出し、残りの敵集団を一掃。

隙をつく様にデモンデウスのその背後を別の敵が狙いに突っ込んでくる。


(危ない―――!!)


悲鳴に近い声を上げるアキラ。

それと同時に光の槍が物凄い速さ飛んでいき、デモンデウスの背後に迫った敵を一瞬で貫く。

断末魔も上げることなく爆散する怪物。

アキラは光が飛んできた方へ視線を向けるとそこにも見覚えのある機体の姿を見た。

その姿はデモンデウスと対照的な天使を模した姿の白い機体だった。

アキラの記憶に間違いが無ければアレは間違いなくレイアムの変神した機械天使だ。


(レイアムさんがゴウさんと―――デモンデウスといっしょに・・・?)


困惑するアキラを余所にレイアムの機体とデモンデウスが背中合わせになりながら身構える。


『キリがねぇな・・・!!』

『限界かい?』

『ハッ、この程度でへばってたら最初から戦っちゃあいねぇよ!!』


デモンデウスの悪態にそうだね、と白い機械天使は答える。


『なら、さっさと突破してみんなと合流しよう』

『応、フォロー頼んだぜ!!』


言うと2体の巨人は敵陣に向けて突撃していく。

その様子はアキラの知っている殺伐とした感じではなく、まさに親友もしくは相棒の様な感覚だ。


(アレがあの2人の―――というよりもこの光景は一体?)

(今キミが観ているのは―――“在りし刻”の“在りえた姿”だよ。キミも含めてね)

(―――それって、どういう)


そうアキラが問おうとした時だ。

彼女の意識がその場から離れる様に段々と遠ざかっていく。

アキラは手を伸ばすも意識は徐々に薄れていった。

完全に意識が途切れる瞬間、彼女の声がささやく様にアキラの耳に残る。


(いずれキミも全てを知ることになる―――キミもまた螺旋の中にあるのだから)


3.


“ゲベート”の拠点『百獣万魔殿』。

邪悪な神殿という厳かさと禍々しさを伴わせた雰囲気の空間。

その中枢にある謁見の間を思わせる場所では3つの影があった。

白い衣装に身を包んだ青年にダークグレーのスーツの男性、そしてコートを羽織った老紳士の姿が居り、お互い向かい合う様に立っていた。

スーツに着込んだ男性―――フォビドゥンは青年―――レイアムに対して言葉を開く。


「以上が報告となります」

「そうかい。―――やはりキミたちと同等の“機怪化人”は無理そうだね」

「その様です」

「仕方がないとは思うがね・・・“機怪化獣”への変化そのものが苦行と言える行為だ。変化の過程で掛かる負担は決して小さくはない。多くは肉体が朽ち果て塵芥となり、肉体が耐えたとしても精神が壊れたただの怪物になるかのいずれかだからね。

無理もないものだよ」


2人にそう言い聞かせるように老紳士ファウストは荘厳な髭を触りながらうんうんと頷く。

それを聞いたフォビドゥンは落胆とも言える声色でため息を付く。


「全く情けない話だな。今ある生を棄て新たな力を望みながらも分不相応が故に力に喰われるか・・・あの様な人間ばかりとは嘆かわしいにも程だな」

「無理もない。力を渇望する者は数多くあれど実際に力得る資格を持つ者は少ない。

我々の様な存在は奇特でしかないのだよ」

「故にあの男を―――デモンデウスを求めているのですか?」

「――――――」


フォビドゥンの質問にレイアムは黙して語らない。

それは予測していたのかフォビドゥンは話題を変える様にレイアムへと話を向ける。


「我々の計画も次なるステップへと踏み込むべきだと判断しますが如何いたしますか?」

「判断はキミたちに任せるよ。そのことはボクは関与しないと言っているはずだからね」

「―――デモンデウスを排除することになっても?」

「彼は必要ではあるけどもキミたちに負ける様ならばそれはそれでいいのさ。

そこも含めてキミたちの好きにしてくれていいよ」

「―――御意に」


深く会釈する2人を見据えた後、レイアムはそのまま姿を消す。

謁見の間はしばし、静寂に包まれたが沈黙を破る様にファウストは口を開く。


「彼はああ言っていたがどうするね?」

「知れたこと。許可を戴いたのならば尚更躊躇する必要があるのか?」

「そういった所は強かだな君は」

「貴様に言われるとはな―――心外、という訳ではないがね」

「だがどうする。今までの様にハンティング・ホラーズ単機だけで攻めるのは効率が悪いと思うがね?」

「今までは単なる小手調べだ。それに“干渉してくる”とはいえ、もはや我らも遠慮は無用でいいと言われたのだ」

「―――なるほどなるほど。これは久しぶりに本気を出せるかね?」

「それはヤツ次第だがね、フフフ――――」


ファウストの言葉に不敵で邪悪な笑みを浮かべるフォビドゥン。

それに呼応する様に神殿内がにわかにざわつき始める。

闇に蠢く機械の異形たちに新たな動きが見えつつあった。

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