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番外2 メシア

 闇。一面に広がる圧倒的な黒。光が天から指すことはなく、中心においてある病弱な明かりが周囲を照らす。明かりを中心に人の気配は無数にあるが、誰一人動こうとも、喋ろうとも、挙句のはてに呼吸をすることもない。

 人であることを辞めている。

 彼らは親愛なる教徒であり、彼らもまた救いを求める者なのだ。愛がなく、金がなく、信頼がなく、信用がなく、立場がなく、家族がなく、名前がなく、光がなく、何も持っていない。

 ひとえに、神を追い求めているだけ。

 絶対的な、それこそリンゴが落ちるだとか、時間は進むなんていう世界の真理と同等の、安心が、決して失われることのない安心が欲しいだけだ。

 彼らの立場も、人種も何もかも違うが、互いにそこにいる目的は同じ。救いを求め、手を差し出しあう、子羊達だ。


 そんな彼らをまとめ、先導する一頭の牧羊犬は、一つの生命体と向かい合っている。

 男は、神父と宮司の服を混ぜ合わせたようなチグハグの服を纏い、色白い肌を光が照らし、不健康そうで、人理を超えた狂気を含み、人ならざる者と向かい合っている。

 男の名は無い。

 昔は聡明な言語学者だったが、一冊の本の出会いにより、人生を捨てた。

 真なる神を求める果てしない旅を始めたのだ。

 教徒からは教祖と呼ばれ、宗教団体『メシア』を創り出した。

 時間にして7年。一冊の本から始まった、救いを求める旅もいよいよ最後を迎える日も近いのかもしれない。

 彼が教典と崇める一冊の本にはこことは違う世界のことが書かれている。魔法に、ダンジョンに、モンスター。それに、唯一にして、絶対の存在、神が書かれていた。

 そして、この本に触れると不可思議な力を使うことができた。

 『どんな言葉も扱うことができる』能力。

 瞬く間に教典を解読し、この世界に、地球に別世界の神を呼び出す準備をした。

 いよいよ、蒔いた種が目を開く時。

 次なる場所を求め、目の前にいる者と話す。

 目の前の者はモンスターと呼べる風貌を持っている。しかし、目の前にいる御仁は異形の姿をした信徒が十三人のうちの一人。人と神との伝達者の役割を持っているのだ。

 今、教祖は次なる信徒を呼び出そうと新たにダンジョンを作り出す地点を聞いていた。

 既に海外において、十人の信徒を呼び出しており、あと二人。

 全員を呼び出すことで、我らの神が約束の地にて降臨なさる。

 ……あと少し、あと少し。

 

 

 

 

 

 彼らの旅がどう終わりを迎えるのか、わからない。

 それは、神のみぞ知るだろう。

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