表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

心情 ― 二重写しのせかい(ぶれるせかい、かさなりあうせかい) ―

作者: みなはら


(いちわ)



いつか撮った写真を見返して眺めてみた



見える景色

あの時に撮った写真の風景と

記憶の中で覚えている風景は

どこか違う



機械の目で見るものと

自分の心で見るものは

たぶん違っている


それはさながら二重写しのよう





彼女が撮った花の写真

僕の撮った同じ写真

やはりどこか違っている


彼女の心が求めたものと

僕が心で欲したものは


同じものを撮っていても

きっと違うものを見ていたのだろう


似ていても重ならない




あの日

好きな人の姿が欲しくて

こっそりと彼女を撮った写真

いつだったか

まだ好きになる前に

何気なく彼女を被写体に選んだ写真


それは違って見える


同じ人を撮っているのに

別の人を撮っているみたいだ


決して重ならない


何かを想う心で撮るとき

その写真には

撮っている人の心が見えるのだろう




今、一緒に過ごす僕と彼女との重なる時間



彼女が僕を撮った写真と

僕が彼女を撮った写真は

どこか似ている



比べてみて気づいた


うん!

とても好い気持ちだ



僕は彼女のことが大好きだ

きっと彼女もそうだろう




違う写真に

重なり合う想い



気持ちを伝えたくて

僕はスマホへ手を伸ばす


スマホが鳴った

彼女からの音楽メロディー





◇◇◇◇◇


(にわ)



いつか撮った写真を見返して眺めてみた



見える景色

あの時に撮った写真の風景と

記憶の中で覚えている風景は

どこか違う



機械の目で見るものと

自分の心で見るものは

たぶん違っている


それはさながら二重写しのよう





せかいを見るとき

その景色は二重写しのように見える



現実の景色を見ながら


まぼろしのように


在りもしない世界と

居もしない人たちのことを想う


私は現実のせかいと

私の空想のせかいの間を旅している



現実の体験ことを積み上げて

空想の物語せかいを広げてゆく



世界を創ることは面白い


私は神様ではないけれど

私の中には世界が広がっている



私が現実の世界に住むように

私の空想の世界にもたくさんの人が住んでいる



私が現実の世界で育てられたように

私の空想の世界でも人たちが育てられている




私の得たもの

私の受けたもの


現実のものごとを

空想に注ぎ込んで


私の世界は大きく広がってゆく

世界の人たちも生き生きとしてゆく



私の中の空想の世界

現実から生まれている私の世界






私は今も現実の世界で

二重写しの世界を見ている



世界は生き生きと鮮やかに



今も二重写しに輝いている

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 写真に写るのは被写体ではなく撮る側の心というご指摘、とってもぴったりだと思いました。 目が悪くて実像もぼやけるので、何もかも二重写しだと実感できます。 見事に共感してしまいました。 書いて…
[良い点] 素敵な二重の世界ですね♪ [一言] 現実と非現実 写真と実際見たもの 確かにおんなじものを見たとしても全く違う気持ちが生まれるのは不思議ですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ