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一途な泣き虫少女


「なぜ彼女がここに?」


だって彼女は、第1作にしか出てこないはずなのに。


「わっ私は、ただっレイド様がこちらにお越しになられたと聞いてっ、どうしてかなぁって思っでえぇぇぇぇぇ」


と大泣きしだす。

同時に、リディアとクリスは2人とも全く同じことを思った。


(どうしてこのゲームはストーカー率が高いんだーー⁉︎)


現段階で三人でてきている(内一名未遂)

それは隅に置いといて、


「さっき「なんで私とレイド様が付き合うんですか」とかなんとか言ってたけど、レイドのことが好きじゃないのか?」

「そんなことないです!世界一、いや宇宙一好きです!」


と、熱烈に語る。


レイドよ、喜べ。お前のことをここまで好きでいてくれる少女がいるぞ。


しかし当のレナリアは自分の言ったことのとんでもなさに気づき、ただでさえ赤かった顔が湯気が上がりそうなくらい、というか上がるくらい真っ赤になった。そしてそのまま「ひゃぁぁ〜」と言って倒れてしまった。



「あ、目が覚めたか」


そのままぶっ倒れたレナリアをクリスは膝枕して、扇いであげていた。


「はぁぁぁぁぁぁ!ごめんなさいぃぃぃぃ!私ごときがかのハンドレッド家のご子息のおみ足の上でねっ転がるなんてぇぇぇぇぇ!」


そう起き上がるとスライディング土下座を繰り出すレナリア。


「いや、別にそんなっ」

「そうよ、この男が勝手にしたことなんだから」

「いえ、これは切腹ものの問題です!腹を切って参りますぅ!」

「落ち着いてぇ!」


とかいう攻防をかれこれ数十分繰り広げ、ようやく落ち着いた。


「先程は取り乱してしまい、すみません!」

「いえ、いいのよ。誰だって殿方の膝の上に頭を置いて寝ていたりなどしていたら取り乱すわ」


(だとしても少しオーバーだった気もするが)


「それで、どうして私たちの近くに?」

「いや、あの、それは、レイド様をお探ししていると、お2人がとってもかわいらしいやり取りが聴こえてきてつい、立ち聞きを…」


かわいらしいやり取り?


「それは、ここにいるリディアが、真っ赤になって照れながら「お見舞いに行った」とかなんとかのやり取りのことか?」

「あっはい、そうですっ」


リディアの方を恐る恐る見てみると、聞かれていた恥ずかしさと、口止めしなければという焦りと、なんかほぼ無条件な怒りとで、なんとも筆舌しにくい顔になっている。強いて言うならば鬼気迫るものを感じる顔だ。

ただ一つわかっているのは、そこに令嬢らしさは全くと言っていいほどないということ。


「…レナリアさん?」

「はっ、はひぃ!」


ギロリという音がしそうなほど恐ろしい目つきでレナリアを睨むリディア。蛇に睨まれた蛙とはまさにこのことではないだろうか。

クリスすら恐ろしいと感じるような顔だったのだから、レナリアからしたら「獅子が眼前にいる」くらいの恐怖だろう


「さっき、見聞きしたことは全て、忘れてもらえるかしら?」


本人はいつも通り笑っているつもりなのだろうか。とんでもなく恐ろしい笑顔になっている。なまはげだって下手したらもうちょっとマシかもしれない。

そんな顔で頼まれたのだ。レナリアはガクガクと震え、涙ながらに繰り返し頷く。

そんな彼女に今のリディアの顔は毒だと思い、無理やり引き剥がすクリス。


「ちょっと2人とも落ち着こうか。レナリアさんは涙を拭いて、リディアは深呼吸しよう」


グズグズと泣くレナリアにハンカチを渡し、鬼気迫る顔のリディアに少し離れるよう促すクリス。

しばらくしてようやく落ち着いた2人。


「ごめんなさい。さっきは取り乱してしまって」

「いっいえ、どうぞおかまいなくぅっ!」


さっきまでの恐怖がまだ残っているのか、遠巻きに震えながらそう言うレナリア。


「まぁ先ほどの件は置いといて、もし、私たちが言ってたように、貴女とレイドさんが付き合えるとしたら、どうする?」


若干内容が違う気もするが…優しくリディアはレナリアに尋ねる。先ほどの鬼の形相からは想像もつかないほど優しく。


「えっ…私は……」


戸惑いがちになりつつもゆっくりと口を開くレナリア。


「私は、今までレイド様を遠くから見つめるくらいしかできなかった。だから、もし、できるのなら、彼に私を見てほしい。彼の幸せを近くで、一緒に!」


そう少し涙で瞳を潤しながらレナリアは前を向いてはっきりと言った。

その様は悪役令嬢なんて似合わないほど。どちらかといえばヒロインのようだった。


「要はレナリアさんはレイドさんとお付き合いしたいのね?」

「ひぁぁ!そんなっはっきり言わないでください!恥ずかしくて死んじゃいますぅ!」


真っ赤になって照れながらそう言うレナリア。その姿にさっきのヒロイン感は全くない


レイドよ、喜べ。こんなにも初々しい子が好いてくれてるぞ。


「よっし!そうと分かればやる事は決まったわ。ありがとうレナリアさん、貴女の言葉で私たちは1つ、救われたわ」

「えっ?は、はぁ、お役に立てたのなら…」


極上の笑みを浮かべ、リディアはレナリアの手を強く握る。そんな態度に明らかにレナリアは戸惑う。

俺たち、というかリディアにとってレイドは大切な押し…ではなくいとこだ(押しでもあるが)だからこそ余計に嬉しく思ったのだろう。

そう思い、微笑ましくリディアとレナリアを見ていると、突如リディアがこちらに向く。

何事かと思ったら、次の瞬間には頭をぐいっとリディアの方に寄せられ、耳打ちされる。


「クリスはレイドの方をお願い。どうしてマリアンヌを選んだのか聞き出して」


「どうしてそんなこと」とクリス聞き返そうとした時には、すでにレナリアの方に向き直っていた。

意味はわからないが、なんの意味もなくそう言うことを言う人ではないとクリスは分かっていた。


「了解」と小さく呟くとそれらしいことを言ってリディアとレナリアの2人に別れを告げる。

レナリアは少し不思議そうだったが、リディアが笑顔で見送るので特別抵抗はしなかった。というかそのリディアの眼光が「とっとと行け」と言っている。

2人と別れるとすぐさま馬車に乗り、ワイスシュバルツ家に向かった。



レイドは突然の来訪者にキョトンとした顔を浮かべる。


「どうしたんだ?クリス。いきなり訪ねてくるなんて珍しい」

「聞きたいことがあるんだ」

「なんだ?」

「どうしてマリアンヌを選んだ」


単刀直入だと自分でも思った。

レイドは豆鉄砲でも食らったかのような顔をすると、少し切なげにこちらを見た。


「中で、話そう」


ここまで読んでいただきありがとうございます!

学生なのでそろそろ夏休みが終わってしまうので、今までのように毎日投稿が難しくなってしまいます。

なので次回からは週一くらいで投稿していきたいと思います!

これからもよろしくお願いします!

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