2.興味のないライオン
たかくんは、とっても楽しい世界に来ていた。お菓子がいくらでも食べられて、何でもできる世界。たかくんはこの世界が楽しすぎて時間を忘れていた。たかくんは、ふとライオンに会いたい、と思った。たかくんはライオンが大好きなのだ。たかくんはライオンを呼んだ。
「おーい。ライオーン。こっちにこーい。」
お菓子の陰からライオンがのそりのそりと出て来た。威厳がある。たかくんは嬉しすぎて倒れそうになった。けど倒れるとこの世界が楽しめない。たかくんはライオンと遊ぶことにした。木の枝を投げてみる。しかしライオンは見向きもしなかった。気づかなかったのかな?と思って今度は皿を投げた。思ったよりも大きい音を立てて割れた。しかしライオンは首すら動かさない。たかくんは様々な方法を試した。しかしライオンは何にも反応してくれなかった。たかくんは悲しくなった。するとたかくんの横で寝かしつけていたお母さんがこういった。
「ごめんね。たか。あなたの好きなライオンはとても凶暴なの。たかの夢を壊したくないの。だからライオンは反応してくれないように設定しちゃったわ。ごめんね。」
たかくんが生まれた年は2726年なのだ。夢を自由に作れる機械などとうに昔から作られていた。
しかし今日もたかくんは騙される。
「たか、この機械はね、たかがぐっすりと眠れるようにした機械なのよ。だからこの機械をつけてね。」
「うん。わかったよ。まま。」
その夜———。
「おーい。ライオーン。こっちにこーい。」