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1.星のセールスマン
(ピンポーン)
はぁ。なんなんだ。俺がイライラしてる時に。仕方ない。俺はソファから体をゆっくりと持ち上げ玄関まで行った。
「なんですか?」
ふてくされた声で聞いてしまった。まあいい。どうせ俺は見た目からしてふてくされてるんだから。
それにしてもなんだ。この人間は。小ぶりな体に黒いハット、ちょび髭を生やして俺を見上げている。
「私は星のセールスマンです。あなたにぴったりの星を見つけて差し上げます。」
なんなんだ。こいつは。いきなり何を言っているんだ。星なんて売れないだろ。
「結構です。帰ってください。」
「本当によろしいんですか?」
「ああ。結構だ。」
「わかりました。さようなら。」
案外粘らなかったな。まあいいさ。俺に星なんて見合わないし。
その頃セールスマンは。
「はぁ……。なんて人間はバカなんだ。これから地球が潰れるってのに。あいつは抽選で当たったから、他の星に連れて行き助けてやろうとしたのに。仕方ない。おさらばだ。」
彼がUFOで飛び立ったその瞬間、地球はとてつもない音を立てて潰れた。