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死神と呼ばれた少女は転生を繰り返す  作者: 結音
第1章 化け物がいる世界
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双子の弟2

 翌日、昨日見つけた文献を氷夜と見ていた。

 結局予言については何も書かれていなかった。だが、あの蕾については描かれていた。

「これさ、絶対あの蕾だよね」

「そうね」

 巨大な黒い蕾とそこから伸びた長い蔓。蔓には黒い球体が付いており、そこから化け物が出てくる様子と出てきた化け物に人が襲われている様子が描かれていた。それは私達が見てきた光景と酷似している。


「こうやって描かれてるってことはさ、過去にもあれが現れたって事だよね?」

「そうでしょうね」

 仮に過去にもあれが現れたとして、四年前までは全くその存在が確認されていなかった。という事は過去に、それも大昔にあれは現れた。そして何らかの方法で退けられたという事。ならばあれを破壊する方法は存在している。


「じゃあ、あれが何なのかも書かれてるかな?」

 氷夜が本を手に取りページを捲る。蕾に関する記述を探しているのだろう。だけど、その本は氷夜が最初に読んで根をあげた物より難しい。どうせまたわからないと言って私に回してくるだろう。


 だがそんな予想とは裏腹に氷夜はいとも簡単に解読した。

「澪夜これ見て!」

 差し出されたページには蕾に触れている黒い少女の姿が描かれていた。その下に書かれた文を指しながら言う。

「ここにさ、黒き子厄災の蕾を封ずって書いてるよ!」

 見ると確かにそう書かれていた。

「氷夜」

「なに?」

「あんたちゃんと解読出来るじゃない」

「へ?」

 キョトンとした顔で私と本を交互に見ている。

「・・・本当だ。なんで?」

 こっちが聞きたい。


「まあ、大した事じゃないしいっか」

 大した事じゃないの?

「もしこれが本当ならさ、澪夜ならあの蕾を壊せるって事だよね!」

「壊す、じゃなくて封じるって書いてあるけど?」

「どっちも似たようなものだよ!」

 全然違うから。


「それで?」

 結局何が言いたいのだろうか。

「だからさ、俺達であの蕾封印しちゃおうよ!」

「どうやって?」

 方法が書かれていないのだけど。

「そりゃもちろん澪夜の力でこう、シュバーっとさ」

「無理ね」

 氷夜の言う私の力は予言にあった悪鬼魍魎を封じる力の事だろうけど私はその力の使い方を知らない。体に封じた事はある・・・・・・・・・けれどあれは私の意識じゃなく強制的にされた事だから。やり方なんて知らない。


「なんで無理なの!?」

「じゃあ聞くけどあんたは封印の仕方わかってるの?」

 ここにも書かれていないのだからどうせ分からないのでしょうけど。

「この絵の通りに蕾に触ればいいんじゃないの?」

「そんなに簡単にはいかないでしょう」

 たったそれだけで封印出来るなら苦労しないでしょ。

「でもさ、一回試してみてもいいんじゃない?当たって砕けろだよ!」

「砕けたら駄目でしょう」

 でも、確かに試してみてもいいかもしれない。


「わかった。じゃあ一度だけ試してみましょう。だけど、駄目だったらその時は別の方法を探しましょう」

「おっけー!じゃあ早速行こう!」

 私の手を引いて行こうとする氷夜を引き止める。

「待ちなさい。今私達は組織から隠れているのを忘れてない?」

「あ」

 まったく・・・この弟は。

「行くなら夜よ。今からだと組織の連中と鉢合わせる可能性があるわ」

「でも、夜は化け物が強くなる時間帯だよ?かなり不利なんじゃ」

「問題ないわ」

 例え強くても倒せばいいだけだ。それに、氷夜がどれほど戦えるか知らないけど、組織を離れても暫く生きていたのだから多少は強いはず。弱くても私が守ればいいだけだから問題ない。


「ふーん。まあ、澪夜がそう言うなら大丈夫か。じゃあ、今のうちに仮眠とっとくね!」

 と言うと勢いよくソファにダイブした。すぐに寝息が聞こえてきた。そんな氷夜に毛布を掛け、私も仮眠を取ることにした。もちろん氷夜の様にソファではなくちゃんと自室のベットでだ。今は午後二時頃だから四時間程寝よう。




 午後六時、私は目を覚まし未だ爆睡している氷夜を叩き起した後、軽い夕食を取って家を出た。まだ夕方なのに外は真っ暗だ。街灯も着いていない。幸い今日は満月で雲一つないから充分動ける。まあ、例え暗闇でも私は動けたけれど。


 周囲を警戒しながら蕾の元へ行く。化け物に遭遇しないように隠れながら進む。それでも何体かの化け物に見つかって戦闘になってしまった。以前戦った時より強かった気がするけど簡単に倒せた。もしかしたらあの世界の記憶を思い出した時に身体能力もあの世界で生きていた時に近いものになったのかもしれない。


 やはり、蕾に近づくに連れ数が増え強くなっているがサクサク倒して行く。やはり双子だからだろうか。お互い何も言わなくてもどう動いたら相手が動きやすいかわかってる。お陰で死角からの攻撃も難なく捌ける。


 そのお陰か前回は蕾から離れた場所までしか行けなかったのに今回は蕾まで辿り着く事が出来た。

 蕾を中心に3m程の場所に入った途端化け物が攻撃してこなくなった。いや、その範囲内には化け物が一体もいなかった。不審に思いながらも蕾を封じれるか試す為に近づいた。


 近くで見るとやはり大きい。こんな巨大なものが本当に封印出来るのだろうか?

「澪夜、早く試してみようよ」

 氷夜はワクワクした顔で急かしてくる。成功するのか分からないけど物は試しだ。


 私は蕾に手を伸ばした。

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