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兎に角やってみよう

毎度閲覧ありがとうございます!


ビックベアーズ討伐後、ゲオルグの口利きのお陰で、三人は街までの案内を受ける事ができた。



「街まで2日!?」


「まじっすか?」


「日帰りのつもりがいきなり旅行だな……」


「でも、良かったっすよ、来週頭バイトの面接っすから………」


「バイト……?」


「いえいえ、こっちの話しっすよ」


「と、言いますかぁ~知らなかったんですか?」


そこで、こちらに問うてくるクリス。


「ま、まぁ……」


そう言って淳が曖昧な返事でこたえる。それを見てクリスが勝ち誇った笑みを浮かべる。


「それにしても本当に君達は何も知らないんだな?」


クリスの頭を軽く小突きながらゲオルグ。


「そうね、転移魔術で飛ばされたとしても物事を知らなすぎるは……」


今度はマリナ。樹木に腰を下ろし剣の整備をしている。


パチパチ……


夕闇になり始め、ゲオルグが薪に灯をともす、勿論魔術で。


「便利っすねぇ!?」


指先から出現した魔術の炎を見ながら純一が呟く。が、ゲオルグはそんな純一に怪訝な表情を向けて。


「君も使えるだろ、生活魔術は基本の基本、呼吸をするようなものだぞ?」


「マジで?」


今度は昌晃が食いつく。


「当たり前ですよぉ~、てか何人さんですか三人は?」


またも、クリス。今度は口元がニンマリしている。どうやらゲオルグやマリナには頭が上がらないのか、知識の無い三人を下に見てくる。


「使えねぇのは使えねぇの!仕方ねぇだろ、チビ!」


「あぁ、私の事チビって言いましたねぇ~!!」


流石にイラッとした昌晃がクリスに噛みつく。クリスも小柄なのを気にしているのか、殊更昌晃に噛みつきかえす。


「魔術も使えないポンコツに言われたくないてすぅ~!」


「はぁ、糞餓鬼ゃぁ!」


売り言葉に買い言葉、二人の言い合いがヒートアップしそうになったとき。


「クリスいい加減にしないか!」


「昌晃も止めましょう」


ゲオルグと淳が止めに入る。


「フンッ、ポンコツ!」


「あぁっ!」


「いい加減にしないか!」


今度は怒鳴り声、流石にゲオルグも怒る。


「兎に角、魔術の基礎は誰にでも出来るはずなんだマリナ、教えてもいいな?」


「別に秘術じないし、ゲオルグに任せるわ……」


剣の整備を終えいつの間にか焚き火の輪に加わるマリナはゲオルグの肩を叩き了承する。


「私は反対ですぅ……」


昌晃を睨み小声で抵抗するクリス勿論誰の耳にも届いてはいない。




「まぁ幸いここには誰もいない、と言うことで今回は基礎攻撃魔術をやってみよう」


「マジか兄やん!」


「生活魔術はいいんですか?」


「あぁ、基礎攻撃魔術が出来れば生活魔術は付いて来るからな、まぁまずは見てくれ」


そう言って、薄暗闇に手をかざし。


「水砲弾!」


刹那、正面の巨木にバスケットボール程の水砲弾が激突。巨木のため折れることは無いがそれでもかなりえぐり取っている。


「今のが水系統の基礎攻撃魔術だ、威力こそあまりだが目くらましや足止めには有効な攻撃魔術だ」


「「「おぉぉ!!」」」


歓声と拍手。三人が素直に賛辞を贈る。流石にこの程度と思っていたゲオルグもコレほどに誉められると気分は悪くない。口元に笑みを浮かべ。


「まぁ、モノは試しだ三人共やってみると良い」


そう言って、三人を巨木の前にいざなう。


「イメージとしては、突き出した手に魔力を集めるイメージで、後は自分のタイミングで、突き出した手から放出するイメージだ」


ゲオルグが一通り説明。三人も手を突き出し、魔力を集中するイメージ。刹那、身体から軽い脱力感が感じられ、それと同時に手に何かが集まる感がある。


「今感じてると思う脱力感は体内の魔力を使ってる証拠だ、さぁやってみようか?」


そう言われ、三人が目配せすると。


「じゃ、俺っすね!!」


先ずは純一。かざした手を更に突き出し。


「水砲弾!!」


言葉を発動条件にして発動。手に次第に水が集まっていき。


集まっていき。


集まって……集まって集まって


集まって。


放出。ゲオルグの十倍以上のそれは、放たれるなり、巨木どころか周辺を巻き込み、百メートル程を食い荒らし、爆ぜる。


残ったのは上空にはじけ、降ってくる多量の水滴。


「…………」


「「………………」」


呆然、ではなく唖然とするゲオルグやマリナ、クリス。正面での出来事が未だに脳内で処理できないのだろうか完全にフリーズしている。


「あ、あれ………何か……失敗っすかね?」


苦笑いに苦笑い。純一は自分のやった惨状に苦笑しつつ。


「まさか……弁償とかいわれないっすよね?」


と、見当違いのことを恐る恐る聞く。


………………


「ちょっ、ちょっ、ちょっと、反応して下さいっすよ!怖いじゃ無いっすか!?」


水滴を浴びながら純一が更に声をかける。しかし、未だにゲオルグ達は硬直している。


「まぁ、ここまでやったら仕方ねぇだろ、はてさて、俺もぶっ放すかなぁ!」


と、純一を尻目に昌晃と淳が魔術をぶっ放したのは言うまでもなく。



同じ様な破壊跡がもう2つ森に傷痕を残すのだった。




合掌……

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