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散策

閲覧ありがとうございます!


異世界に送り出された三人は、扉の向こう異世界ヴォバックにとりあえず圧倒されていた。


「夢……でしょうか?」


先ずは開口一番淳がそう言って昌晃の頬をひねりあげる。


「いへぇ……って馬鹿やろう!!」


涙目になりなから昌晃は淳の手を叩き落とす。


「まぁ……なんと言うか壮大な景色っすね」


ポカンと口を開け、純一がその景色に対する感想を述べる。


時間………は此方の世界で通用するかは解らないがとりあえず三人共自身の時計に視線を落とす。


「さて、まぁ現在昼の一時すぎか、なら日の暮れる夕方あたりまで散策するか?」


「ですね、それにあっちに帰る為の街も探さないといけめせんからね」


昌晃の提案に淳が付け足しをして賛同する。純一も異存は無いとばかりにこくりと頷く。


「にしても、すげぇ森だな?」


昌晃が森を見上げ口を開く。確かに地球のジャングルよりもスケールのある鬱蒼とした場所だ。それに、人の往来すらない。


「ヤバいな、なんかファンタジー感が半端ない!」


「いやいや、昌晃、多分まんまファンタジーですから」


苦笑を浮かべ淳がツッコミを入れる。だがそれにしてもスゴいものだ、ドアの先が異世界とは。


「マリアさんは、未来から来た猫型ロボットすかねぇ……」


誰からともなく歩き出し三人は思い思いの事を口にする。兎に角、今は散策も兼ねて帰りの為に街に行く必要がある。道なき獣道を歩く。



…………

………


………………


「そう言えばよ?」


「ん?どうしました昌晃?」


「いや、ふとした疑問なんだかさ」


「疑問っすか?」


「あぁ、ホント些細な事だけどよ……」


「いや、止めておきましょう昌晃…」


「ん?なんで?」


「ここは異世界です、そこでフラグをたてるのは……」


それ以上は言わずもがな。淳は無言で口元に人差し指をあてる。


「確かに、無駄にフラグ立てる必要はないっすね」


「確かに……そう……」



バキバキ………!!


と。その時。三人の会話を遮るように後ろで木々のおれる音。


「「「!!!」」」


木々の折れる音を聞いた刹那、三人は誰に言われるまでもなく、その場でビタリと硬直する。



イマノナンダヨ?


サァ?ナンデスカネ?


マサアキフリカエッテミテクダサイッス!


三人同時に最小限の声音。だが誰も後ろを振り返ろうとはしない。しかし、全身を貫くいやな感覚は何時までも去ろうとはしない。


…………


更に数秒の沈黙。森全体が静寂に包まれ、三人の息づかいが嫌に目立って聞こえる。


そして、その後から。


ゴフゥ……


獰猛な、そう獰猛何かの声。


ゴクリと唾を飲み込み、三人は同時にゆっくりと声の方へと顔を向ける。出来れば気のせいであってほしい、そう切に願ながら。


「ですよねぇ………」


願い虚しく、三人の向いた先はデカいそうデカい。


「毛玉……!!」


「じゃねぇよ!ありゃ熊だぜ!」


「しかも地球の熊とはスケールが違うっすね」


「感心してる場合じゃねぇよ!どうすんだよ?」


会話はするも小声、熊を刺激しないように慎重に。


が。


グォォォォォォ!!!


雄叫びと共に巨大熊が立ち上がる。デカい巨体がさらにでかく。そして、三人を威嚇する。


「ちくしょぉぉぉぁ!!走れぇぇ!!」


刹那、三人は地面を抉る程の勢いで森を駆け出す。


「走れ走れ走れ走れ走れ走れぇぇ!!」


「くぁぁ、ヤバいなんてモノじゃないですよ、いきなり命の危機じゃないですか?!」


「あんまり、喋ると舌噛むっすよ!黙って走りましょう!!」


「どこまでだぁぁ!!」



グォォォォォォァァァァ!!


「「「ヒィィィィィイ!!」」」


木々を強引にかき分け三人はがむしゃらに走る。ただ前を向いて。





<三人の逃走経路より少し先の場所>


「……今、獣の咆哮が聞こえなかった?」


「えっ?聞き間違いじゃ無いんですかマリナさん?」


そう言って、マリナと呼ばれた女性はもう一度しっかりと声が聞こえたであろう方向に耳をたてる。


…………グォ…………


「聞き間違いじゃないわ、確かに獣の声……まだ大分先だけど……」


「ふむ、マリナがそう言うなら確かだな……パーティー随一の耳なんだ、信じろクリス」


「ゲオルグさん…」


クリスの疑問をかき消すように、ゲオルグと呼ばれた青年が、マリナの能力の信頼性をとく。クリスもそれ以上は異を唱えず。


「でも、かなりの距離で聞こえるとなると……相当の大型獣なんじゃ……」


「そうだな、この近辺ならビックベアーズだろう」


「それって!?」


「あぁ、今回の標的だクリス、マリナ!」


そこで言葉を区切りゲオルグはマリナに叫ぶ。勿論マリナもその意図を感じとり。


「なら、話しは早いわね私が先行、ゲオルグとクリスは少し後方で援護と指示出しよろしく!」


そこまで言えば後は意志疎通、表情だけでもこれからの行動を読み取れる。三人は各人のフォーメーションを確認し、森の中を疾走する。

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