帰国?帰還?
閲覧ありがとうございます!
仮眠ではあるが一眠りしたあと、ゲオルグ一行はシャリオへと帰還する。
「時刻は8時過ぎですね……」
「今日は一限目からだから………遅刻以前に欠席確定だな……」
シャリオの正面、その衛門をくぐり抜けながら昌晃は天を仰ぐ。それを見たゲオルグは。
「ん、どうかしたか藤堂君?」
と、声をかけてくる。
「いえ、コッチの都合の話です」
「そうか、初任務で色々と負担もあっただろう、身体の調子が悪ければギルド経由の良い治療院を紹介する、希望の翼と言えば何かと融通してくれるはずだ」
笑みを浮かべ、ゲオルグがそう告げてくる。
ゲオルグさん……良い人や……
三人がそんな事を思い浮かべていると、何時しかギルドの前に到着。そのまま扉を開ける。
「あ、お帰りなさい、首尾はどうでした………」
と、入り口付近で掃除をしていた職員のユリが一行を出迎えてくれるが、表情を見た瞬間言葉を区切り。
「大変だったんですね……」
察してくれた。
「ユリちゃん、支部長はいるかい?」
そんなユリを見てゲオルグが直ぐに支部長と言う言葉を口にする。すると、ユリは何事かと表情を曇らせながら。
「はい、今は執務室に……」
そう言ってゲオルグを案内する。
「他のメンバーは今日の所は解散で、報酬は各々……千鳥君達は後でマリアから受け取ってくれ」
ゲオルグはそれだけ伝え、ギルドの奥へと消えていく。
「私は今からパーカスさんを治療院に連れて行きますが、三人はどうしますか?」
パーカスの横にいたスプーンが三人に質問して来るが。
「僕達も戻ることにします、たいして怪我もしていませんし……」
そう言って一礼してギルドフロアに戻る。
「さて、ユリさんの戻りを待って、僕らも帰りますか?」
「確かに、家のベッドで寝たい……」
「深夜手当て…………」
三者三様に思い思いをくちにする、と。
「初研修はどうでしたの?」
聞き覚えのある声。すると、そこには地球側の事務所にいるはずの女性がいるではないか。
「ドラちゃん?」
「誰がドラですの!」
ギルドのフロアに響く程の声。マリアだった。
「あれ、姉御どないしたん?」
「ちょっとギルドに用がありましたの」
「なら丁度良い、俺ら今日の研修終わったから一緒に連れて帰ってくれよ!」
昌晃が長椅子に腰掛け、フラフラと手を振ってマリアに話しかける。
「………そうですわね、構いませんのよ、私も用事が終わった所ですから……」
マリアはそう言って三人に手招きすると、何時ものギルド入り口とは逆方向に歩き出す。
「ふへぇ………疲れた」
「はてさて帰りますか……」
「深夜手当て……」
三人が思い思いの事を口にしながら、マリアの後を着いていく。その先に扉。地球とのゲートである。
ギルド支部長室
「ジェノサイドキャットとキリングライダー……ですか……」
「はい……非難するつもりはありませんが、かなり情報にブレがありました」
「…そうですか……こちらとしましても情報には確実性を持って、その上で任務依頼として、おろしているのですが……」
支部長はそう言って顔をしかめ、今回の任務書類に視線を落とす。対面のソファーに座るゲオルグはそれを伺いながら色々胸中で思案を浮かべる。
「まぁ、ウチとしても団長を通して無いのでなんとも対応のしようかありませんが、今回は死者もでていませんし、ギルドさんにクレームと言うことは無いと思います」
「そうですか……申し訳ありません」
「いえ、それよりも今回の事案心当たりは?」
ゲオルグの質問。しかし、支部長はゆっくりと頭を左右にふる。
「その件については連絡が来た後全力で原因を捜査中です……今のところこれといった情報は………」
現状は何も解らず、ただパナマの時にキリングキャットだったものが進化したそれ以上でもそれ以下でもない。
「では今回の件、調査の程よろしくお願いします……」
ゲオルグはそこまで言って支部長室を後にするのだった。
日本側事務所
扉を開けたらそこは………
現実でしたぁ!
それもその通り、今やっと異世界から帰ってきたのだから。
「はぁ……姉御……」
「何ですの?」
「いきなり夜間は無いだろ?」
「仕方ありませんの、希望の翼はシャリオ有数旅団、研修を入れ込むのも楽じゃありませんの」
「それでもよぉ………」
「文句言うなら自分で探します、昌晃?」
「うっ…………」
「そうでしょうそうでしょうとも、シャリオ有数旅団なんか卵野郎の貴方には無理ですの!解ったら現状で頑張りますの!」
「糞……言い返せねぇ………」
事務所の椅子に倒れ込み、反論も出来ずに頭を垂れる昌晃。現状マリアにはおんぶにだっこの状態だ、不平不満があってもそれを押し通す事は出来ない。
「まぁ、昌晃、異世界から来たドラも万能では無いんですよ……」
「そうっすよ、ドラさんも色々大変っすからね」
昌晃を慰めるように淳と純一。
「ドラ、ドラって………私は未来から来た猫型ロボットではありませんの!」
三人に向かって吠えるマリア。最近これがありふれた光景になりつつあったのはまだ誰も気付いてはいない。