夜間戦闘 1
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日暮れ
旅団 希望の翼 拠点 ロックフリー酒場
「はは、確かにマリアらしいな、何も知らされて無かったと?」
「糞、適当にもほどがある」
「まぁ、そう言うな酒でも飲むか?」
昌晃の愚痴を聞きながら、ゲオルグが酒を勧めてくる。が、未成年と言って断りを入れる。
「そうか……マスター、三人に炭酸水を……」
「あるんすか?」
ファンタジーの世界に炭酸水と聞いて、純一が反応。
「あぁ、最近マリアがどこぞの国で仕入れて来たらしくてな、色々な用途がある」
そんな、説明をしていると、ウエイトレスの女の子が四人のテーブルに炭酸水を持ってくる。
「…………ん、ほのかなオレンジ風味ですね」
炭酸の感触を口の中で味わいながら、淳がそっとゲオルグを見やる。勿論ゲオルグもそれが解ってるのか。
「さて、開始まで時間も無いしな、今日の任務を説明しとく」
ゲオルグはそう言って、他のテーブルに座っていた二人を呼び寄せる。
「パーカスとスプーンだ!」
テーブルに近づき、呼ばれた二人は軽く会釈をし。
「パーカス・マナンス、ランクBの魔導剣士だ」
身長180程の大柄な中年男性。
「スプーン・プラン、ランクCの魔導士です」
身長155くらいの礼儀正しそうな清楚な女性。
「二人とも最近正式入団してな、パーカスは最近ウチの団員かヘッドハンティングしてな、剣士としてはかなりの腕だ、スプーンは魔導士としてまだまだだが、中級魔術の扱いには目を見張るものがある」
「副長……」
誉められた事にスプーンが反応、恥ずかしそうにコチラを見て。
「私もまだまだですけど、正式入団の団員です、解らない事は聞いて下さいね」
真剣な眼差しで三人にそう言ってくるスプーン。勿論言われた三人も。
「「「はいっ!!」」」
と、愛想良く返事しておく。
「さて、ここからは本題何だか……」
二人を同席させ、テーブルにシャリオ近隣の地図を広げると、ゲオルグは北東部の村を指差し。
「この村、シャリオから徒歩一時間程のマルゼン周辺が今回の任務地だ……」
「副長、マルゼン周辺と言えば……」
「あぁ、パーカスの思うとおりだ、本来この周辺はシャリオの治安部隊の関係で、あまりモンスターの発見例の無い場所だ………しかし」
そう言って、ゲオルグはマルゼンから更に東を指差し。
「この街、パナマからの輸送中のモンスターが逃げでたとしたら?」
言いながら、マルゼン付近の森をトントンと指で叩き。
「それでウチに依頼が来た訳だ」
「しかし、ウチが出張る程のモンスター何ですか?」
パーカス。
「まぁ、今回は突発だし、研修もいるから引き受けてみた……標的はキリングキャット二体の討伐だ」
「捕獲ではなく?」
今度はスプーン。
「あぁ、逃げた時に護衛の冒険者と移送の人材をやってるらしい……」
ゲオルグは少しトーンを落とし説明。二人もそれを聞いて納得したとばかりに、頷く。
「まぁ、任務ランクはBだが俺とパーカスもいる、そこまで手こずりはしないだろう」
「確かに……」
ゲオルグの説明に納得し、パーカスがこちらに視線を向け。
「まぁ、安心しろ、副長もいる」
そうとだけ言ってパーカスはゲオルグと作戦の詳細を話し始める。
酒場二階
「と、言うわけで副長とパーカスさんが任務詳細を話し合っている間に三人には魔導石とその説明をしておきます!」
二階に上がり、旅団の使っていると言われる会議室で三人はスプーンから魔導石についての説明を受ける。
「投げんのか?」
魔導石を握り投げる振りをする昌晃。しかし、スプーンは首を左右に振り。
「違います、正確に言うと魔導石はあなた方の武器になります」
「武器…ですか?」
「はい、現在の魔導石はただの石とかわりませんが、使用者が魔力を篭めると、使用者に最適な武器へと変化します……例えば魔導剣士向きなら剣や槍など、魔導士や回復士なら杖や弓などです……」
「へぇ、この石が……」
昌晃が石を掲げて天井につり下がっているランプにかざす。勿論今はただの石だ。
「兎に角、出発までに間もありません、早速魔力を通してみて下さい」
「いや、そんな急かさなくても……」
「何言ってるんですか?冒険者たる者武器は冒険の必須アイテムです、さぁ!」
スプーンが更に急かす。三人は一度顔を見合わせ仕方なく魔導石に魔力を流し込む。
…………
………………
「おほっ!!」
そう言って、最初に魔導石に変化が訪れたのは純一だ。光に包まれ魔導石がその光を収束すると。
「……………何ですかこれ?」
スプーンの言葉。
「銃だな…」
「えぇ、しかもバチバチの狙撃銃ですね……」
「と、言うことは俺は遠距離型って事っすね、ゴ○ゴ13……」
長身の狙撃銃を眺めながら純一がつぶやく。
「この銃はなんと言いますか、普通よりも……確か対人用に使えるんですかね?」
銃を見て淳が呟く。が。
「ですから、銃って何ですか?」
話しというか、銃を知らないスプーンが説明を求めてくる。すると。
「ざっくり言うと、弓の更に遠距離型の武器っすね」
「いや、もうホントザックリな………」
確かに間違っては無いが、だいぶザックリ感は否めない。と、そんなことをしていると今度は淳の魔導石に反応が起きる。
「僕は盾に片手剣ですね………」
変化した武器を見ながら淳が呟く。どうやら盾があると言うことは。
「中衛ですね、純一の狙撃の援護と指揮でしょうか?」
「うぅむ、確かに淳は指揮官向きっすね!」
「納得だな!」
と、そうこうしていると最後に昌晃の魔導石が反応。光が収束すると。
「日本刀………」
「バチバチの前衛ですね」
「頼むっすよ、体育会系!」
淳と純一が前衛候補の昌晃をはやしたてる。勿論スプーンは蚊帳の外になっていた。