まず最初に
異世界日帰りの旅?
異世界いってみませんか?
そんな看板を見た最初の感想は…
行けるものなら行ってみたいよ。
だと思う。
「てか、なんだこれ?」
「さぁ?新しい何かか?」
隣にいた友人二人が看板を見て、そう口走る。
勿論、俺もそう思いながら友人二人に視線を送る。
と。
「でもよぉ、確かに異世界は一回行ってみてぇよな?」
「まぁなぁ……てか藤堂さんも、そう思わんけ?」
看板から視線は外さずに、俺は呼んできた相手に。
「確かに、行けるものならなぁ…」
と、答える。
「でも、興味はあるが、やっぱりここじゃぁなぁ」
「うむ…」
そう言いもって、三人は、目の前の如何にも怪しい雰囲気を醸し出すビルを見上げる。
それは確かにそうだ、正直いかがわしい雰囲気全開で、如何にもブラックですよと言わんばかりの建物である。
「まぁ、学生な俺らが行ったらぼられそうだから、止めておきますか…」
友人の一人がそう言って、三人がその場を離れようとしたその時。
「良いんですの、本当に?」
と、どこからともなく女性の声が聞こえてくる。
「「!?」」
いきなりの呼び止め声に、三者三様で辺りを見回す。
「ここですわ、ココ!」
三人を呼ぶ声。だが、三人は声の主を特定出来ず、更に周囲を見回す。
「女性に免疫の無い童貞小僧達かしら…まぁ良いですの…ここですわ!!」
と、そこでやっと声の主が、ビルのある一角から声を出していたのを発見。
視線をむけると女性はおもむろに手を振り始める。
「やっと気づきましたのね、そこ行くお兄さん方、店に興味があるならよってみて下さいな!新規オープンですの!!」
女性は窓から満面の笑みを持って、三人を店へと呼び込もうとする。
が。
「……ヤッパリ風俗か?」
「まぁ、あんな美人さんですし……」
「美人局の確率も……」
三人が思い思いの言葉を口にすると。
「あぁ!三人共!私不審者ではありませんのよ!」
そそくさと去ろうとする三人に、食い下がるように女性は声をかける。が、三人はその言葉を無視して歩き去ろうとする。
「ちょっ、ちょっと!あんまりじゃない待ちなさいよ!!」
女性はそう言いながら窓から身を乗り出し。
落下………
「あぁっ!」
女性が落下したと同時、三人の内の一人がそれを目撃し声をあげ、他の二人もビルへと視線を向ける。
しかし、落下した女性はうまい具合にアスファルトの地面に落下すると、三人の悲鳴も無かったかのように、こちらに走ってくる。
「ふぅ、捕まえましたのよ、さぁ試しに店に!」
一人の腕を引き、ビルへと案内する女性。だが三人の意識は既に女性にはなく。
「おい、今の五階じゃなかったか?」
「ま、まさか……恐いこと言わないで下さいよ」
「いや、確かに五階から……」
三人の動揺に気付いた女性は、うっすらと笑みを浮かべ。
「まあまぁ、今の事はおいておいて、ささ、店に来て下さいまし!」
今度は三人の服を掴み、半ば強引にビルへと連れて行くのだった。
「店………?」
ビルに入りエレベーターに乗り、何の変哲もない廊下を通り、そして女性が案内した部屋へとたどり着く、と、そこには何もないがあてはまる、そんな部屋があった。そして勿論三人の感想もここは店?だった。
「まぁ、何も無いところですが、ささ、ゆっくりして下さいまし」
どこから出したのかパイプ椅子が現れ、三人に進める女性。営業スマイルを浮かべ、こちらに愛想を振りまいてくる。
「やっぱりヤバいタイプのヤツじゃないのか?」
「確かに……この流れは無理やり商品を売りつけられるか……はたまた……」
「兎に角、ヤ……」
と、そこまで言って女性がさっと手をかざし。
「ストップですの!!怪しい怪しいと、まだ話も聞きませんのに、不審者扱いしないで欲しいモノですわ!!」
ふぅ、とそこで一度息を吐き、女性は気を取り直し。
「私は、ここの店主でマリアと申しますの!で、ここが何をする場所かと言うと…」
「ヤッパリ、ナニか?」
「確かにナニっぽいですね」
「……………」
と、マリアの言葉を遮り三人が思い思いの言葉を口にする。勿論ナニに関して。
しかし。
「黙らっしゃいですの!コレだから童貞小僧共は、私が何時そんな嫌らしい事をするといいましたの!!」
「なら、ナニすんだよ!」
「確かに、ナニじゃなければこんな何も無い場所でナニするんですかね?」
「うむ、ナニすんだ?」
「……バカにしてますの?」
三人の言葉に苛立ちを覚えた女性は、はたまた、どこから取り出したのか鉄パイプを携え凄んでくる。
「ホントに、黙らないとぶち殺しますのよ……」
「「「申し訳ない……」」」
「まぁ、良いですの、それより本題に入りたいのですが…良いですの?」
(てか、話聞く流れになってるけどよ?)
(まぁ……)
(ヤバいんじゃねぇか?逃げるか?)
「何ですの?質問ですの?」
三人の小声を拾い上げ、マリアが鉄パイプを肩に担ぐ仕草を見せる。
「さて、落ち着いたところで私は自己紹介しましたが、あなた方の名前を知りたいですの?」
別に落ち着いてもないし、自己紹介もしたくは無いのだが、女性の凄みに気圧されて三人は渋々名前を名乗る。
「藤堂 昌晃…」
「千鳥 淳」
「時任 純一です…」
三人が名を名乗るとマリアは満足そうに頷き。
「さて、異世界に行ってみませんですの!?」
いきなりの言葉だった。




