ク
「しっかしお前ぇ、毎日走ってんのかい?」
祭が訊いてくる。どうしよう。
①うん ②ううん ③…
ー②でしょうねー
「ううん」
今日走り始めたばかりなので、祭の質問に正直に答えた。
「あたしはよう、今日初めてのルートなんでい。ちょいと、冒険みたいな感じでねえ」
そう言って祭は、アハハと楽しそうに笑う。どうしよう。
①俺もそうなんだ ②あははあ ③セットで
ー③にございますー
「俺もそうなんだ、あははあ」
初めて走る道だし、多分普通に迷子になるだろうな。
「あっはっは、一緒に探検だな。どこまで行くんでい?」
豪快に笑った後、祭は訊いてくる。どうしよう。
①どこまでも ②その辺 ③分からない
ーこちらも③に御座いますー
「分からない」
ここも俺は、正直に答えた。だって分からないものは、分からないもん。
「んじゃあさ、あたしと知らないとこ冒険しね? お前ぇに、時間があればだけどよう」
短い黒髪を揺らして、俺の方を振り返った祭は言う。どうしよう。
①いいよ ②いいね! ③いやだ
ーここは②になりますー
「いいね!」
俺もどうせ暇なので、祭の面白そうな提案には賛成した。
「よし! だったらよう、喋りながら適当な道を進んでいくってことでどうでい? ふん、あたしの勘で行ってやろう」
祭は楽しそうに、続きを提案してくる。どうしよう。
①賛成 ②反対 ③は?
ーこれは①ですー
「祭の勘か、まあ俺も時間あるし…いいと思うよ。じゃあ俺は、ついて行けばいい?」
「おうよ!」
そうして俺は、祭の勘にルートを委ねることにしてしまった。これが後にあの大事件になるとは、この時の俺は思っていなかった。
「お前ぇはさ、こうやって体を動かすことが好きだったりするのかい?」
何も話さない気まずい空気にならないように、一生懸命話題を探して祭が話し掛けて来てくれた。どうしよう。
①好きだよ ②嫌いだよ ③さあな
ー①ですー
「好きだよ」
俺が質問の答えを言うと、祭の頬が少し赤らめた。
「あっ、おう。そうなのか。じゃあさ、毎日走るってんのかい?」
平常運行に戻った祭は、また俺に質問して来てくれる。どうしよう。
①うん ②ううん ③は?
ー①ですー
「うん」
毎日走るつもりでいた俺は、祭にそう答えた。




