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選択肢  作者: ひなた
夢前星香ルート
291/389

NN

「よっしゃぁ! これで班は全部決まったぜ! 班に入れていない奴、いないよな!」

 物凄い大声で、先生は叫ぶ。でもさ、班に入れていないとかそんな奴がいたら可哀想過ぎるでしょ。

「自由行動の計画、建てやがれっ!」

 プリントを回収すると、先生は新しく別のものを配って行きやがった。プリントなんていらないし、めんどくさいな。この気持ち、あの先生ならわかってくれると思ったのに。どうしよう。


①奪う ②スルー ③破り捨てる


ーここで①を選ぶらしいですー


 なんだろうと思い、それを入手して見てみる。沖縄? へぇ、なんでまた。でもまあ、なんか近場に連れていかれなくて良かったかな。めっちゃ楽しみ。

「見せて見せて」

 文字を読むのがめんどくさくなってきた頃、星香ちゃんが俺から用紙を奪い取る。順に奪い合い、全員の目に渡ったと思う。

「んじゃあ、色々調べて来るよ。代わりに、文句は言わせないってことで。いいよね」

 悠里ちゃんがそう言って来る。なんだか、少し怪しげな感じもする笑顔だ。どうしよう。


①文句なし ②俺がやる ③全部ヤダ


ー我が儘言わずに①にしますよー


「そうか。わかった、頼むぜ」

 女子の意見を否定するのもちょっとあれだしさ。折角調べて来てくれるって言うんだったら、わざわざ否定する意味もないし。だから俺は素直にお願いしてあげた。

「二泊三日、それって三日なの二日なの? 正直、そんなわかんない書き方しないで欲しいよ」

「あっそれ思う! 多分、二日目はあるけど三日目はちょっととかじゃないかな」

 修学旅行は二泊三日だと言うので、それがどのような意味なのか議論。だって暇だったんだもん。あとさ、だって難しいじゃん。わかんないじゃん。


修学旅行イベント、発生の基準は謎のままです。

花空祭が発生のポイントなのかとも思いましたが、今回は彼女との繋がりが少ないので違うのでしょう。レアイベントですので、発生方法を特定したいものです。

この布陣で挑むこのイベント、攻略にはどのような影響を与えるのでしょうか。くっくっくっく。


 修学旅行当日、空港集合である。誰かを誘うのも面倒だったので、俺は一人で旅立ち無事到着。もう既に、班員は全員揃っていた。ちゃんと俺は二分前には来ているのに、皆は真面目だな。

「オッラァ! 集合時間じゃい! まだ来てねぇ奴、誰かいるか!?」

 五月蝿いな。驚くから、いきなり叫んだりするのは止めて欲しい。ウザいし。

「揃った班、先に乗ってて」

 孝則先生の声が、マイクによってボソッと響き渡った。どうしよう。


①従う ②従うかよバ~カ ③硬直


ー普通に①を選んでいいと思いますよー


「ほらほら、早く行こうよ。二年八組の席はあっちみたいだぜ。班ごとに決まっているけど、班内での席は自由だって」

 笑顔で星香ちゃんはスキップ。ただ、他の班の人もいて迷子になってしまいそうであった。どうしよう。


①どうしようって言われても…… ②星香ちゃんと手繋ぐしかないでしょ ③迷子でもいい


ーこれは②を選んで欲しいのでしょうー


 迷ってしまってはいけない、そう思った俺は前を歩く星香ちゃんの手を取ろうとする。しかし星香ちゃんは、偶然だろうけど手を前に。伸ばしている俺の手に気付いたようで、その手は麻耶ちゃんが掴んでくれる。麻耶ちゃんが手を引いてくれたおかげで、迷子になることなく辿り着くことが出来た。

「手、握っちゃってごめん。子供みたいで危なっかしかったんだもん」

 笑顔で麻耶ちゃんは、かなり自然に俺の隣に座って来る。六人なので、一列半俺たちの班の領地となっている。窓際に俺、その隣に麻耶ちゃん。通路を挟んで悠里ちゃん、悠里ちゃんの隣には生意気にも陽が。そして俺と麻耶ちゃんの後ろに、星香ちゃんと朝希がいるんだと思う。見えないから順番はわからないけど。

 男子三人女子三人なので、男女を区別しても一ペアは必ず男女席が出来てしまう。それならいっそのこと、と思って男子と女子で隣になるよう工作した。しかし、悠里ちゃんの隣に陽がいるのは勿体無いと思う。

 機内では、好きな人を探り合ってみた。高校生で恋人いないとか、それは少し寂し過ぎるもんね。今の俺は彼女なしだから、絶対発掘しないといけないと思っている。正直修学旅行の班を男女混合にするって、合コン的なことをして欲しいと学校が思っているからだと思うんだ。

「絶対オレのこと好きっしょ? だって陽様だもん」

「私が好きなのは、もっともっと素敵な人だよ。間違えてもあんたなんか、好きになりましぇーん。ざーんねーん」

 しかしまあ、陽は永遠に無理だと思う。ナルシスト過ぎるでしょ? ただ、それに対する悠里ちゃんの対応は最高だった。

「よっしゃ、着いたぜ!」

 女子の好みや同士が恋する相手を探っていると、先生の叫び声が聞こえてくる。もう辿り着いてしまったと言うのか。へえ、沖縄って案外近いんだね。

「何それ、マジヤバいじゃん。戦争とか楽しそう、うらやま」

 どうでもいい場所を巡っていたので、それなりの感想しか返せない。てかさ、こんなとこ行って喜ぶ高校生いる訳なくね? ただ、ウケると言えばウケるかも。

「オレが戦争出たら、絶対超勝ってたから」

 ウチのクラスは、先生が雑いから助かる。陽は大分騒いでいたけれど、注意される気配もない。かなりバカにしていたけど、まあしょうがないもんね。先生だって、絶対本当は別の場所見たいでしょ。

「ホテルに女子と入って、俺の前で一人で堂々とは犯すなよ? やるんなら、オレも一緒にだから」

 一日目は退屈だと思っていたけれど、これから夜が訪れる。ホテルの部屋も、行動の班と同じつまり男女混合。それはどう考えても、合コンで仲良くなった人と一回犯してみろと言う意味。二、三回あるのは女子の人数を考えてなのだろう。

「え? 俺、お前とヤルの?」

 陽の言葉が理解出来ず、反射的に返してしまう。それを、周りの班員は大爆笑。なんとも失礼な、陽のせいで恥掻いた。

「そういう意味じゃない。……でも、それでもいい」

 さすがの陽と言えども、そこまでの発言をしていた訳では無いらしい。少し安心。けれど、その後の言葉は少し理解に苦しかった。真顔小声赤面、それを演技でやるほど陽の演技力は高かっただろうか。

「男子はそんな話ばっかりで、ほんとやだやだ。早く部屋に行くよ」

 空気が少し可笑しくなったので、麻耶ちゃんがそう言って笑いに戻してくれる。その優しさがあってくれたから、俺だって恐れることなく用意された部屋に入室できたしさ。

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