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「君ってさ、結構Sですよね? 学校では大人しくて優しい、ごく普通の男子生徒です。しかし深く関われば関わるほど、相手をドMに変化させていきますよね」
あまり豪華な物ではなかったが、楽しむことは出来ていた。何かゲームをやるでもなく、ずっと美海先輩と適当なことを駄弁っていたんだ。そこで、そんなことを言われて驚いた。Sの自覚はあったが、相手をMに変化させるとは思っていなかった。
「だから堪らないんですよ。私は元々かなりのドMだと自覚しています。タイプ的に言えばドM変態って感じだと思っています。だから、君みたいな人が堪らないんです」
何を仰られているのだろう、この人は。それに、Sな人くらい俺以外にも学校に沢山いる筈。それなのにどうして俺を? そこまで群を抜いたドSではないと思うけどな……。
「てかむしろ、私たちは運命の赤い糸で結ばれているんだと思います! 初めての経験でした、まさか一目惚れするとは思っていませんでしたよ」
な、何を仰られているのだろう!? 今のは普通に告白だよね。勘違いじゃ、なかったよね。どうしよう。
①調子乗る ②もう一度 ③帰宅
ーここでは、最も理解に苦しい②を選びますー
「その言葉はどうゆう意味ですか? 答えて下さいよ。何を伝えたいんだかさっぱりわかりませんね」
普段キャラを演じているストレスからだろうか。自分でも驚くほどに、俺は憎たらしい表情をしていると思う。
「わかりませんでしたか? それは残念です。では、もう一度言わせて頂きます。私は君に一目惚れをしました! 好きです。きっと好きなんだと、思います」
本当にはっきり言われた。勘違いと言って逃れることは出来ないほど、はっきりきっぱり言われた。こうゆうところは、とてもカッコいいい先輩だと思う。俺とは違う、美海先輩は勇気も持っている。
「まだ友達でいい、そうは思います。しかしいつか、君のことを仕留めに行きますね。君が好きと言ってくれたとき、私は君と恋人になりたいんです」
告白されたんだが、なんだか振られた気分だな。もしかしたら、Mを自称している美海先輩は結構ドSなんじゃないだろうか。そうゆう戦略で、俺を陥れて行こうと言う気なのだろう。どうしよう。
①コクる ②死ぬ ③殺す
ーこれは③を選ぶそうですよー
告白された俺、もしかしたらモテ期突入じゃないだろうか。まあそれは有り得ないとしても、本当に俺は告白されたのだろうか。浮かれていたときに、嘘に決まってるじゃんとか言われないんだろうか。
「はいはい、俺は美海先輩のことが好きです」
全く気持ちが籠もっていなかったと思う。それが本心と思ってしまうだけに、心を込めることが出来なかった。
「まだ、みたいですね。いつか本気の、超本気のその言葉を言わせてやります。でも今のも可愛かったかも、きゃあっ! そうゆう冷たい態度に惚れたんです、きっと」
アニメだったら鼻血を出しているんじゃないか、という風に美海先輩はその場に倒れた。
「冷たいままでいて欲しい、でももっと熱くなって欲しい。この複雑な思いが、恋というものなのですね。初めての感情を教えてくれて、ありがとうございます」
違うと思う。俺も知らないけれど、それは恋というものとは違うと思う。イメージ的には、恋ってもっと純粋な気がするもん。
「君にももうすぐ分かると思います。私が教えてあげます、恋とはどんな感情なのか」
しっかしわかんないなぁ。どうして俺なんだろう、どうして俺なんかのことを。勿論好きって言って貰えて嬉しいんだけど、俺よりもっといい人は沢山いる筈。それなのに、どうして美海先輩は俺なんかを。わからない。何度理由を聞かされても、全て納得できない。どうしよう。
①問う ②気にしない ③殺す
ー殺し過ぎですので②でいいでしょうー
まあ、美海先輩の目が悪かったんだろう。そうゆうことにして、今は納得しておくことにする。
「ちょっ、なんで何も返してくれないんですか! 悲しくなって来るじゃないですか、嬉しくなって来るじゃないですか。きゃーっ、カッコいいですよ」
どのポイントで俺をカッコいいと感じることが出来たんだろう。むしろどのタイミングで、俺なんかに恋をする気になれたんだろう。わからない、美海先輩の感覚は全くもって理解できない。
「あんまり可愛くしてたりすると、いつか襲っちゃいますからね? 覚悟していて下さい」
途轍もなく可愛らしい言い方だった。今まで見たことがないほど、美海先輩は”可愛らしさ”を放っていた。だからそんなことを言われると、言葉の意味が一瞬理解出来なくなって困る。いや理解できないわ、襲うって何を言っているんだろう。
いつも通り妖艶な微笑みで言ってくれればいいのに。それだったら、言葉と表情が合い過ぎて困るのに。そもそも美海先輩、元が可愛いって言うより綺麗系なんだし。俺的にもそっちの方が好みだし。
「どうしました? もしかして見惚れちゃっていましたかね」
こうゆう台詞は控えて欲しい。見惚れない方が可笑しいほど、美海先輩は美人なんだから。さすがの俺も認めざるを得ないほど、美海先輩は美人なんだから。どうしよう。
①うん、見惚れちゃった ②笑わせないで下さいよ
ーそれでも選ぶのは②なんですー
「笑わせないで下さいよ」
この俺が見惚れたとか、素直に口にする筈がないじゃないですか。ブスのツンデレはただのブスだって自覚はしているけれど、恥ずかしいんだから。




