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選択肢  作者: ひなた
天沢美海ルート
259/389

TA

 俺は今日、高校二年生になった。


ではここで、game start です。





 ああ後輩楽しみだな。先輩とかって呼んで貰ったりして…。

 俺は新しい教室に入り、席に座った。隣では、三つ編み眼鏡の真面目そうな女子が本を読んでいた。知らない子だ、去年クラス違ったのかな。どうしよう。


①話し掛ける ②その子の本を見せて貰う ③気にせず、持って来たゲームを


ーこれは②を選んでいいのでしょうー


 読書の邪魔はいけない。しかし、何を読んでいるのか気になったので覗かせて貰った。

「本、好きなんですか?」

 やはり俺が鬱陶しかったのか、その女子は問い掛けてくる。どうしよう。


①肯定 ②否定 ③無視


ー普通に①を選びましょうかー


「はい、好きです」

 女子との会話となると、どうしても緊張してしまう。震える声で、俺はなんとか返した。笑われるかと思ったが、彼女は嬉しそうにしていた。

「ジャンルは、どんなのが好きなんですか?」

 本に栞を挟み、目を輝かせて問い掛けて来た。この時間を本を読めない。つまり、俺は迷惑を掛けてしまっているのではないだろうか。どうしよう。


①正直に答える ②嘘を答える ③答えない


ー②を選ぶのですね? やっと嘘を答える理由がわかりましたー


 しかし、嘘は嘘でもどんな嘘を吐こう。……。どうしよう。


①難しい系 ②エロ系 ③彼女が好きそうなものを


ー優しさとしては②を選ぶのが正しいのでしょうー


「そんなの決まっているではありませんか。男ならエロ本ですよ」

 これなら、もう彼女は俺の為に無駄な時間を割く必要が無くなる。だってこの答えで、彼女から同意される筈がないのだから。

「え……? そう、なんですか……」

 どうしてなんだろう。あまりドン引きという様子も見えない。だとしても、これで俺と絡む気は一気に失せただろう。

 ……一つ問題点がある。俺の声が少し大きかったらしく、周りに聞えてしまったのだ。視線が痛い、囁き声が痛い。去年から変態と語り継がれた俺だし、今更凹むことじゃないけどさ。

「その本は違いそうだし、俺はもう大丈夫です。読書の邪魔してすいませんでした」

 完全に変態だな。でも、女子の時間を無駄に使わせるよりはいい。それに、こんないい子そうだしさ。

「そう、ですか……。こちらこそ御免なさいでした。御免なさい、御免なさい」

 ペコペコ何度も頭を下げると、やっと読書に戻ってくれた。本当にいい子なんだな、心から俺はそう感じた。

「ヨッシャ!アタシが担任の撫川海だゼ!」

 教室に入って来ると、先生は大声で叫んだ。元気な先生だな、一年間疲れるだろうなぁ……。

「一時間目! 大! 交! 流! 会! 皆で仲良くしろ! ってことでじゃあな!」

 最初以上の大声で叫び、先生は教室から去って行ってしまった。どうしよう。


①従うべきなり ②従わなくてよか ③ふらふら


ーこりゃ③でも選んでおきますかねー


 席に着きっ放しで、誰かの邪魔にでもなったら大変だ。そう思った俺は、とりあえず立ち上がり人目につかない場所を探す。そして見つけた。先生の机の影に、俺は小さく体育座り。

「皆~!! 前向け!! あたしの歌を聞け~!!」

 すると、元気な女子生徒が出て来て叫ぶ。先生の後だから酷くは聞えないが、鼓膜が破れるほどの大声だ。どうしよう。


①拍手 ②無視 ③文句


ーここは②でいいのではないでしょうかー


 拍手をして気付かれたら嫌だ。文句を言うなんて論外、いくら五月蝿いとはいえ楽しそうだからいいじゃないか。俺なんかのせいで気分を害しでもしたら大変だ。

 五月蝿い。俺は耳を塞ぎ、顔を足に埋めていた。大人数の声が聞える。きっと人気な生徒なのだろう。しかし、俺はどうしていいかがわからない。だから何もしないと言う道を選んだ。

 暫くすると、先生が教室に入って来た。だから俺は顔を上げて本当に先生であることを確認し、立ち上がった。指示に従い急いで席に戻る。

「んじゃ、ネームナンバーで行こう! 一番から、ハイどうぞ!」

 先生が一番であろう男子を前に連れて行った。自己紹介ね。どうしよう。


①全員ちゃんとメモしよう ②聞こう ③自分以外どうでもいいか


ー選択肢にない選択、ここでは④を選びましょうー


 メモなんかしていたら、更に変態だと思われて終わりだろう。しかし、ただボーっと聞いているというのも悪い気がする。やっぱりそれで行ったら自分を気にするべき。でも、自分だけとか最低な人の考えな気がするんだ。

「お前の番だぞ」

 俺が悩んでいると、後ろからツンと突かれた。俺が自分の番に気付かなかったせいで、クラス全員に迷惑を掛けてしまった。どうしよう。


①自己紹介くらいはちゃんと ②深く謝罪を ③適当に


ーここじゃ普通に②を選んでいいのではありませんかねー


「私は〇〇と申します。宜しくお願い致します。先程は自分の番に気付かず、皆様をお待たせしてしまいました。その事につきましては、深くお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした」

 皆引き気味だな。どうしてだろう。俺、また変なこと言っちゃってたかな。はあ、国語の勉強をもうちょっと頑張らないとだよな。

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