加
「あっ、もう時間ですよ。それでは、僕はクラスに戻りますね。先輩も早く戻った方がいいですよ」
楽しい時間はあっと言う間って、本当だよね。駆け回り遊び回っていたら、もう交代の時間だという。どうしよう。
①まだ桜と遊ぶ ②今度は一人(または別の人)と遊ぶ ③クラスへ戻る
ーちゃんと③にしてくれなきゃ困りますよー
「分かった。それじゃあ、頑張れよ」
「はい、先輩も頑張って下さいね」
二人で手を振り声を掛け合うと、猛烈ダッシュで教室へ向かった。ずっと桜と一緒にいただけあって、俺だって相当走ることには自信がある。
そして何でも全力な彼ですから、与えられた役割を全力でこなす訳ですよ。
クラスでの仕事も楽しそうに、楽しく真面目に彼は頑張ります。
楽しい時間はあっと言う間、だから後半もあっと言う間に終わるのです。
そうして文化祭一日目は、幕を閉じた。
文化祭 二日目
二日目は一般の客も入り、生徒の出し物も一日目より自由になってくる。部活でやる生徒や友達同士でやる生徒、一人でやる生徒もいる。何もやらない生徒もいれば、一人で沢山出す生徒もいる。メインと言ったところだ。
「今日は、一生懸命頑張んないとだよね。あぁあ、僕とっても楽しみ」
昨日も桜は物凄く上機嫌だったのだが、今日はそれにも増して上機嫌だ。因みに、賞品もしっかり決めてある。桜の可愛さを生かした賞品だ。
「でもいいのか? 何されるか分からないだろ」
勝った場合は、その人に好きな言葉を掛けて貰えるという。だから桜に勝つことが出来れば、「大好き」とか「おにーちゃん」とか自分の望む言葉を掛けて貰えるんだぞ! この美少女に。
「んー、全然大丈夫だよ。僕の心配してる暇あったら、自分の心配したらどうなの? だって僕は絶対負けないけど、そっちは分からないんじゃないかな」
確かに本人も言う通り、桜が負けることはないと思う。しかし、俺に挑む人もいないと思うんだ。だって美少女と俺とで、誰が俺なんかを選ぶんだよ。
「まっ! 心配しててもしょうがないから、楽しむことだけ考えよう。何とかなるさ」
これくらいの適当さじゃないと、頭使い過ぎて病気になってしまうね。
「ふふっ、あははっ。らしいよ」
そうだよな。絶対その方が、俺達らしいに決まってるんだから。
「用意とかって何もないよね? まあ場所の確保の為に早く着たけど、どこがいいかな。目立つところがいいよね」
かなり早く学校に来たのだが、もう既に作業をしている人は結構いた。
「目に付きそうだし、校舎の目の前とかどう? 階段が椅子代わりになっていいじゃん」
そんなところに陣取ってる人は見当たらないし、広く使えそうだね。どうしよう。
①賛成 ②反対 ③やめよう
ー普通に①で十分じゃありませんかねー
「それでいいんじゃないかな。校舎内に入るには、ほぼ絶対ここを通り掛かるし」
ってことで、瞬時に俺達の場所は決定した。桜が持参のレジャーシートを敷いてくれ、そこに座って待っていることにする。でも階段があるおかげで、足を曲げて座れるからこの場所はいいんだよね。




