由
「そうですか。先輩にそう言って貰えて、僕とっても嬉しいです。それじゃ、行きましょう」
何だか妙に嬉しそうな顔をして、桜は食堂の方角へと歩き出す。
食堂に辿り着き、俺達は他愛のない話をしながらも食事を終えた。どうしよう。
①俺の奢り ②奢って貰う ③それぞれ
ー仕方がなく①なんですー
カッコよく先輩らしく「俺の奢りだ」とか言いたかったが、そこまで俺の財布に余裕はないのでそれは諦めさせて貰う。
「もうそろ昼休みも終わりですね。先輩、放課後会いましょうね」
手を振って自分の教室へと戻って行く桜。因みに俺と桜は、放課後昇降口でと約束をしている。約束もしていないのに偶然会ったりしたが、一緒にと言っているのに会えるかどうか運任せなんて……俺達もそこまでではない。
まあこの後教室に戻って、午後の授業を受けて貰います。
そして午後の授業が終わるとすぐに、待ち合わせの場所へと向かう訳です。
これはここまで選んできた選択肢の場合絶対事項の為か、選択肢は出ません。
「あっ、先輩。部活見学、行っきますよ~」
俺が昇降口に行くと、物凄くハイテンションな桜が待ち構えていた。それも待てなかったのか分からないが、桜は二年生のところまで来て出迎えてくれたのだ。どうしよう。
①見学へGO! ②教室へGO! ③自宅へGO!
ーここも①でいいでしょうー
「よ~し! そんじゃ、まず何部の見学をしようか」
桜のハイテンションがうつったのか、俺もどんどんテンションが上がってくる。何だか桜と一緒にいると、周りの目とかを気にしなくなってくる。いい意味でも悪い意味でも……。
「分かりません。でもそんなの、別に決めなくたっていいじゃないですか。呼ばれたらその部に行く、それで十分ですよ。そこで気に入ったら、もう入部決定です」
めんどくさそうに、でもハイテンションでニコニコと踊る桜。まあ簡単に言えば、故障中……かな? どうしよう。
①修理 ②否定 ③肯定
ーこれは③ですねー
確かに桜は故障中なのだが、別に直す必要なんてないだろう。ハイテンション、楽しい→いい事……多分。
「分かった、そんな感じに行ってみよう」
俺達は校庭へ向かって駆け出す。まだ入部決定者は半数ちょいくらいしかいないだろうから、どこの部活だって部員集めを続けてるだろう。だって初日にしか新入部員を募集しないって、それは部員別にいらないってことでしょ? きっと。
「あっ、桜じゃん。隣にいるのはボーイフレンド? やっぱモテる女は違うな」
一人の女子生徒が、桜にそんなことを言う。この子、バレー部の子かな? 昨日一生懸命叫んでて、印象に残ったんだよな……。
「そんなんじゃないよ。ただ、一緒に部活見学しようってなっただけ。まあ僕らは色んな部活の見学に行くから、恋は恋で頑張ってね」
手を振って笑顔で別れる桜。歩きながら桜にさっきの女子生徒のことを聞いてみると、金子恋って名前の一年生でジョギングの時に桜が話していた親友らしい。
「ねえ先輩、結局どの部活が良かったですか? せ~ので言いましょう」
取り敢えず部活を二人で見て回って、最後に桜がそんな提案をしてくる。
「「せ~の、テニス部!」」
二人の息はぴったり合った。
「それじゃあ、テニス部に一緒に入部しましょう? 先輩☆」
そうして俺と桜はテニス部への入部を決定した。




