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今日は修了式、遂に俺は二年生生活を終えることとなる。
「皆との一年間、楽しかったぜ! お前らもう、三年生になるんだぞ! 頑張れ! 先生を見かけたら声を掛けてくれよ! 先生、もう退職しちまうんだ!」
先生が移動するとかは離任式で聞くはずだが、先生は教室に入ってくるとそう言った。
「でもウミちゃん、家は変わんないでしょ? ウチが遊びに行ってあげるよ」
「ありがとう!」
嬉しそうに夢前さんの肩を叩くと、先生は教室を出て行った。どうしよう。
①先生の所に行って「何で退職するんですか?」 ②スルー
ーこれじゃ②になっちゃいますかねー
いなくなるからって、先生に引っ付き回ったり構ったりして鬱陶しがられちゃ嫌だな。でも担任なわけだし、先生にお世話になったことは確かなんだよな……。
「ほら、体育館へ行け!」
暫くすると先生が戻って来て、いつも通り叫んだ。
☆
俺は修了式を終えて、教室に戻った。
「さ~て、今学期もやってきました! 皆さんがお待ちかねの、成績表のコーナーです! 一番の人から、こちらへどうぞ!」
先生が叫んだ。一番から順に渡されていき、遂に俺の番号だ。俺の成績は、…………俺にしてはいいと思う。どうしよう。
①自慢 ②見せ合い ③そんなことしない
ー③を選びましょうー
嬉しかったのだが、平然を装いキリッとしていた。
「どうしましょう」
隣の女子が、成績表を見ながら顔を青くし、そう呟いていた。どうしよう。
①…… ②そんなに悪かったの?
ーここは①を選びましょうー
話し掛けたって迷惑だと思い、それと同時に見せ合いや自慢をしなくて良かったと心から思った。
「お疲れい! 今日は終わりだ! 離任式には、絶対来いよ! 先生待ってるから!」
今日は部活だってないから、俺はそのまま家に帰った。
「〇君、成績はどうだったかな?」
家ではお母さんが待ち伏せしていた。どうしよう。
①自慢げに ②微笑んで ③悲しそうに
ーこれは②で十分でありますー
怒られるという恐怖もないので、微笑みながら優雅に渡すことが出来た。これも百々先輩のおかげ! お母さんに成績を褒められるなんて、こんなの初めてだから……。
三月三十一日、今日は離任式だ。先生は絶対来いと言っていたが、参加は自由と書いてある。どうしよう。
①行く ②妨害 ③行かない
ー一応①なのですー
担任にはお世話になった。来年から学校にいなくなるというのなら、最後の挨拶くらいはしないとね。その想いから、この俺が参加自由の離任式に参加することにしたのであった。




